|
カテゴリ:BOOK!ぶっく!book!
こちらのブログでは,本の紹介を主にしていますが,今まではエッセイとか占い本などの,娯楽本?しか紹介してなかった気がする・・・。
もちろんエッセイも占い本も好きだけど・・・いや,小説も読んでるんですよ,ちゃんと。 ってことで,今日のご本はこちらです。 アンボス・ムンドス桐野夏生 桐野夏生さんの本にはまったのは, Out がきっかけ。 映画にもなったこの本ですが,普通の主婦たちが,殺人に加担していくという,どこにでもいるような人が,落ちていく様を書くのが桐野さんはとてもうまい。 桐野さんの作品を読み始めると,その展開の面白さに夢中になり,ページを捲る手が止まらなくなる。 私はこういう小説を,個人的にジェットコースター小説と名づけ,愛読している。 桐野さんの小説を全て読んでいるわけではないけれど,彼女の作品の中でこれぞジェットコースター小説といえるものは,上で紹介したOutの他に, ダーク アイムソーリー、ママ があります。 桐野さんの作品で当たりと思ったのが,この3冊です。 他に,グロテスク,魂萌え!も読みましたが,私的にはう~ん・・・って感じでした。 魂萌え!は,うちの親世代(50代後半)から上の年齢の方が読んだらいいんじゃないかな,と思います。登場人物の年齢設定がそんな感じなので。ちょっと感情移入しにくかったのです。 グロテスクは,ストーリー自体は面白いんだけど,1人称形式って言うんでしょうか,全て登場人物が一人で回想しながら語る感じで書かれていて,それが淡々としすぎていて,その語り形式に飽きました。なので,最後まで読まなかった作品です。 もしかしたら最後,すごい展開が待っていたのかしら? 桐野さんの作品には,人間に光と影,表と裏,明と暗の部分があるとしたら,影,裏,暗の部分が色濃く描かれている。 人の,普段は見せない影の部分が,光を超えて色濃くなってしまうと,桐野さんの作品の中の登場人物の様に,普通の人が簡単に落ちていってしまうのではないだろうか。 そういう, 人間が誰しも持っていて,普段人には見せない影の部分が物語の中で色濃くかかれているので,自分の中にある影の部分が共感して,読み始めるとはまってしまうのだと思う。 と,解説が長くなりましたが,アンボス・ムンドス。 桐野さんの作品ではめずらしい短編集です。 7つの短編が入っていますが,私は最初の3編くらい読んだところで,やっと短編集だと気づきました(笑)。 桐野さんの小説では,全く環境の違う,全然関係ない人がいろいろ出てきて,最後に結びつくというのがよくあったので,今回もそのパターンだと思って読んでいたら,あっさり裏切られました。 短編集とはいえ,1編1編が濃い~作品ばかりで,どれも短編で終わってしまうのがもったいないものばかりでした。 「怪物たちの夜会」では,不倫をしている男女の,どうにもならなくなった最期の有様が描かれている。 私は不倫をしたことはないけれど,どうにもならなくなった心理状態に,思わず感情移入してしまった。 あまりにもリアルに書かれているので,もしかして桐野さん,不倫経験あり?と,いらぬ勘繰りをしてしまった。 そして表題にもなっている「アンボス☆ムンドス」。 ストーリーは,若い女教師と不倫相手の教頭が,こっそり海外旅行に行った。二人はそこで,夢のような日々を過ごすのだが,帰国後待っていたのは生徒の死と非難の嵐だった・・・という,悲劇の話です。 アンボス・ムンドスって,どういう意味か知ってますか? 私も知らなかったのだけど,「両方の世界」という意味だそうです。 例えば,東西,表裏,左右,男女,明暗など。 これって,さっき言った桐野作品の特徴とリンクしている?! 短編集もなかなか面白かったですが,やっぱり物足りない感じなので,桐野作品は長編で読みたいと思います。 次は,直木賞受賞作なのにまだ読んでないこの作品, 柔らかな頬 を読んでみようと思っています。。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年05月18日 22時56分21秒
[BOOK!ぶっく!book!] カテゴリの最新記事
|