カテゴリ:ミステリー
本日ご紹介するミステリーは、岡嶋二人さんの「あした天気にしておくれ」です。
●あらすじ 優秀なサラブレッドを両親を持つ期待された馬―セシア―が、三億二千万の高値で購入された。四人の馬主の一人がセシアを自分の牧場に運んだとき、思わぬ事故からセシアは足の骨を折ってしまう。骨折は治るものの、サラブレッド生命は完全に絶たれてしまった。賠償責任を問われることを恐れた馬主たちはある計画を立てる。 ●簡単な感想 非常に面白かったです。 主人公の朝倉さんは馬主の馬の管理役なのですが、考えた末に犯罪に協力してしまいます。犯罪者になることにはなりますが、誠実な人柄が表れているので嫌悪感はありません。正当化できることではないですが。 偽装誘拐を装った計画に、誰とも知れない援軍が現れます。ただし、正体が不明なので味方なのか敵なのかわからない上に、彼らの失敗は自分たちの犯罪の露見にも繋がります。 おかげで、スリルと緊張感がずっと持続されるわけですが。 犯人視点の話はもともと好きな方ですが、これは中でもかなり良い作品だと思います。そういった作品がお好きな方はぜひどうぞ。 朝倉さんたちの計画も、「協力者」の計画もとても練りこまれています。特に身代金の受け渡し方法は秀逸だと思います。 競馬には興味はないですが、それでもわかりやすく面白く読めました。 他の作品を読むのも楽しみです。 以下はネタバレを含む感想です。 読まれた方のみ反転してご覧ください。 朝倉さんが良い人たちだっただけに、最後の最後で犯罪が露見してしまうのは後味が悪かったです。とはいえ、逃げおおせれば良いというわけではないですが。犯人視点の話は、犯人と同調すればするほど最後が残念になります。どんな理由があれ犯罪に加担したからにはいたしかたないのですが。 真智さんとは良い夫婦であっただろうと思うだけに、離婚することになるのも残念ですね。しないかもしれませんが、朝倉さんの方が拒絶しそうです。会いたかったのに一度も会えなかったというのも効果的でした(寝顔は見てますけども)。 犯罪の露見が一個人の欲だったのは微妙でした。とはいえ、南雲さんが関わっていたらそれはそれで南雲さんのキャラが壊れてしまいますが。会社建て直しのためとはいえ、あの二人からお金を取るのは非道すぎますし。 一度かなりの部分まで読んで、貸し出し期限切れで返して、戻ってきたのをはじめから読んだせいか、南雲さんが黒幕なのは途中で気がつきました。それでも面白さが損なわれることはなかったですが。セシアの骨折が先にあって、小火は南雲さんが故意に起こしたのかと思っていましたが、それは違っていました。南雲さん、ついていなさすぎです。 以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.10.28 21:14:14
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