カテゴリ:ミステリー
本日ご紹介するミステリーは、三津田信三さんの「
山魔の如き嗤うもの」です。 ●あらすじ 成人参りのために久しぶりに故郷に帰ってきた郷木靖美は、早朝から三山に登るために家を出た。その後、道に迷った彼は忌み山へと足を踏み入れてしまう。数々の奇妙な体験をした彼は、山に住む一家に泊めてもらうが、翌朝、一家全員が姿を消していた。 ●簡単な感想 今回ははじめて東城さんが探偵として依頼されて村に赴きます。 警察との関係も概ね良好で、横溝さんの金田一耕介シリーズにちょっと似ているかもしれません。犯人の後手後手に回ってしまうあたりも含めて。とはいえ、探偵に罪があるわけではないのですが。 いくつか納得いかないところや強引なところもありましたが、今回も楽しめました。 以下はネタバレを含む感想です。 読まれた方のみ反転してご覧ください。 一家総出で立一さん家族に扮しなくても良いような気がしますが、金山ともなれば何を差し置いてもということになるのでしょうか。どの程度の頻度で一つ家に行っていたのか不明ですが、人の行き来はそれほど少なかったのでしょうか。お吉さんが対応すればいいわけですし、日中から行ってもいなかったでしょうけど、それだと効率が悪そうです。そもそも、採掘をしていたのでしょうか?(痕跡を残さないようにしていたのなら非常に大変でしょうし、素人に何とかできるものなのかも不明ですが) 金の魅力に取りつかれるのはわかりますが、基本的に力枚さんしか来ないのに毎回きちんと衣装を替えるのは用心深いというよりも若干のご都合主義を感じました(靖美が唐突に来たときにもちゃんと立春に女装させていたり)。月子さんが同一人物を別人だと認識して、一方には恋をして、一方にはすげなくするのも無理がありそうな気もします。団伍郎と広治が話していたのを「広治は明らかに別人」だと認識されているのもちょっと強引な気がしました。顔が汚れていて服が違うからといってそこまで断言しなくても良かったように思います。 立一一家は芝居役者一家というのと、犯人は将夫というのはしっかり引っかかりました。ただ、立治一家でしたというのはやっぱりちょっと無理があったような気がします。本物の立一一家は結局どうしているのか不明なままですし(山から山へ旅しているのでしょうけど)、立造さんたちの話も有耶無耶になってしまったのは残念です。 犯人が靖美だったのは意外でしたが、高志の悪戯が結果的に犯人隠匿に一役買っていたのは出来すぎではありました。従兄弟を本気で心配していたらそんな悪戯はしないと思うのですが。会ったこともない人をだまして何が楽しいのか不明ですし。しっかり制裁は受けていますが。 一家惨殺をするには動機が弱すぎますが、立治一家も悪ふざけが過ぎると思うので、罰にしては重すぎますがあまり気にはなりませんでした。 以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.30 22:05:21
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