カテゴリ:ミステリー
本日ご紹介するミステリーは、貫井徳郎さんの「
光と影の誘惑」です。 短編集になります。 ●あらすじ(光と影の誘惑) 銀行に勤める西村は、競馬場で知り合った小林と親しくなる。お金をギャンブルにつぎ込む西村は、息子へのプレゼント費用も競馬ですってしまった。妻に罵られた西村は小林とある計画を立てる。 ●簡単な感想 基本的にあまり楽しい話ではありませんでした。ハッピーエンドが好きな方には向かないと思います。 ミステリーとして面白い話はあるのでお勧めの作品ではあります。 以下はネタバレを含む感想です。 読まれた方のみ反転してごらんください。 長く孤独な誘拐…子供を誘拐されて犯罪を犯させる話は以前にも読んだことがあるような気がします。卑劣ですが、それ以上に選ばれた理由がひどいものでした。一生分の不幸が一度に押し寄せたような話ですが、それだけに最後にもう裕貴也を引き取ろうと思っているのが切り替えが早すぎたように思いました。最後に一縷の望みを持つことで悲惨なだけの話で終わっていないということだろうとは思いますが、息子を取り返すためだけに犯罪を犯して、家族のために必死に働いてきたことで目を付けられて、人生は何なんだろうと思うような事態の中でそこまで思えるものだろうかと思います。取り換えがきく存在ということではないのでしょうけど、息子が不憫に思います。 二十四羽の目撃者…不可思議な状況での殺人事件が自殺でしたで終わるのは案外珍しい気がします。発砲音が聞こえてもすぐに現場に駆けつけられることはないだろうという目算は良かったです。風船で飛ばすのも無理はなさそうですし。海外が舞台になっているのも久しぶりでした。 光と影の誘惑…結末まで読んでもすぐにはぴんと来ませんでした。しばらくしたらわかりましたが、確かにヒントはいろいろとちりばめられていました。銀行員の噂は警察がわざと流したものかと思ったので、あの事件の後、捕まっていなかったのは意外です。母親からちょっと聞いた程度で相手を特定できて、しかもその相手と巡り合えるのはちょっと無理があったような気がしますが、見事に引っかかったので読み直すのが楽しかったです。犯人は捕まってもらいたいですが、25年前にも捕まらなかったので無理かもしれません。 我が母の教えたまいし歌…一番、続きの気になる話でした。話がどう転ぶのか最後までわかりませんでした。最終的には父親が最低でした。義理とはいえ娘に手を出して、避妊もせずに妻を殺すとか。娘(母親)は義父に人生を狂わされたのでしょうけど、結局50年間もそこそこ幸せに暮らしてきたのなら同罪です。主人公が枷を感じる必要はなかったと思いますが、被害者の二人が不幸で加害者の二人が幸せな人生で、読後感が良いとは言えませんでした。主人公は彼女を中絶させたりしているわけで、その意味では加害者といえるでしょうけど。 以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.02.01 22:31:55
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