カテゴリ:ミステリー
本日ご紹介するミステリーは、三津田信三さんの「
水魑の如き沈むもの」です。 刀城言耶シリーズの作品になります。 ●あらすじ 阿武隈川烏の代理として波美の地を訪れた刀城言耶と編集者の祖父江偲。彼らは水魑様の儀を見るために村を訪ねていた。干ばつの際には増儀を、洪水の際にが減儀を行う水魑様の儀で、13年前に神男が死亡していた。そして再び、増儀の際に神男の死亡が確認された。 ●簡単な感想 前半に講釈が多かったので、ちょっとだれました。村に行ってからはそうでもなかったですが。 すごく今更ですが、三津田さんは三角関係が好きだなぁと思います。今まで読んだ作品で入ってないのがあったかどうかはっきりしませんが、だいたい入っているように思います。できれば主役にはあまり絡ませてもらいたくないですが。 面白くはありましたが、最後が消化不良でした。 以下はネタバレを含む感想です。 読まれた方のみ反転してご覧ください。 ミステリー内での子供の犯罪者の見逃される率の高さと、ミステリー内での未成年者の飲酒・喫煙率の高さでは、どちらが高いのか良くわかりませんがどちらにしても多すぎると思います。 正一で止めておけば良かったのに、としか思えませんでした。龍璽の件はともかくとして、龍吉朗さん、辰卅さんの無駄死にが忘れられすぎだと思います。犯人が無事に逃げおおせて、姉の傍で殺人犯だと知っている夫と共に幸せな結婚生活を満喫してますと書かれて「良かったぁ」と思う人の方が多いんでしょうか。片棒を担いでさえいなかった正一や何も悪いことをしていない世路さんが行方不明で、連続殺人犯だけがのうのうと幸せになってますと書かれても祝福はできません。 創作の中とはいえ、子供に対する犯罪の容認ぶりがどうも納得いかないのですがあまり賛同が得られなさそうです。確信もないまま、結局は無関係な人を殺すくらいなんですから、今後とも殺人を行う素地は十分にありそうですし、矯正されないのはかえって本人のためにならないと思うのですが。 ラブコメ要因の偲も必要なく感じました。探偵側にヒロインがいると危機的状況に陥ってもどうせ助かるとしか思えないので、そういう意味でも今後の毎回の登場はない方がありがたいです。 肝心のミステリー部分は、樽に空気が入っている状態だとそもそも沈まないのではないかと思うのですが(投げ入れたときは小夜子の重みで沈むでしょうけど、その後、小夜子が樽を自在に操っているかのような描写に無理がありそうな気がしましたがそんなことはないのでしょうか。樽本体の重さなどが書かれていないのでよくはわかりませんが。 儀式の直後に大雨が降ったり、水魑が怒ったということで納得されたりというのが、これまでの作品での不思議現象に対する取り組み方とちょっと違うように感じました。今までは突き詰めればまだ少し不可思議なことが残ってるという程度だったのですが、今回は水魑はいるという大前提に誰も異議を差し挟まなかったので、そこももうちょっと考察があれば良かったです。 以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.02.05 18:58:40
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