カテゴリ:ミステリー
本日ご紹介するミステリーは、島田荘司さんの「
ゴーグル男の怪」です。 こちらの作品はNHKの「探偵Xからの挑戦状!」という番組の島田さんの担当回に放映されたものです。 携帯小説で配信されるミステリー(問題編)を読んで、犯人や動機を推理して送信し、テレビドラマで解決編が披露されるというものです。 これまでの作品は「探偵Xからの挑戦状!」と「探偵Xからの挑戦状!season2」として書籍化されています。井上さんや我孫子さんも参加されています。 島田さんの作品のみ独立して書籍化されたようです。 ●あらすじ 煙草屋のお婆さんが殺され、その直後にゴーグルをつけた男と警官がすれ違っていた。そのゴーグルの中は赤くただれていたという。現場に散らばる煙草と、発見された黄色い線の入った五千円札。目撃情報は寄せられるものの、一向に姿を掴めないゴーグル男とは何者なのか。 ●簡単な感想 基本的にはドラマの展開と同じでしたが、原発の話が付け加えられていました(元の話から原発についてもあったものをドラマ化の際に削ったのかもしれませんが)。臨界事故を起こした原発の燃料を製造する住吉化研と、そこに勤める男性がドラマの話にに絡んでいく感じです。悲惨な体験によって人生をゆがめられた人の話なので重いです。 原発についてはそれほど深く書かれていないので、作者の思想の押し付けに思えるような箇所がなくて良かったです。 以下はネタバレを含む感想です。 読まれた方のみ反転してご覧ください。 語り手である「ぼく」の悲惨な体験はミスリードのためのものだったと思いますが、妹を襲う必要まではなかったと思います。それだけおかしくなっているという表現なのかもしれませんが。その後もふつうに一緒に暮らしている妹も不思議ですし。後になって出て行きはしましたけど。 彼もそう長くはない命だろうと思いますが、彼を含めて住吉化研がどうなっていくのかまでが書かれていないところが余韻があって良かったです。 レストランのオーナーがどうなったのかはちょっと気になりますが。順調に回復していると良いです。 島田さんには「生まれついての中身の純粋さ」を持った女性をぜひ書いてもらいたいです。 以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.05.06 22:22:01
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