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最近、読書のためにまとまった時間をさくことが難しいのですが、 テレビで紹介されていたのを見て、どうしても読みたくなって、中脇初枝著「きみはいい子」を読みました。 子どもの虐待を主たるテーマにした5つの短編集なのですが、それぞれ様々な立場や年齢、生育環境の人物が語り手となっていて、虐待が他人事ではない、身近なことであると示唆しています。 いつでも、どこでも、もしかしたらすぐ近くにその当事者がいるかもしれないし、いつも会っている誰かが、虐待にあっていた過去、あるいは現在進行形の状況を抱えているかもしれない。 それはあえて口にする話でもない、普通にあり得ることなのでしょうが、親となっても自分の中では他人事で、自分とは関係ない誰かの話、と無意識に感じていたことに気づかされました。 そのように、虐待という特殊な状況におかれた人に限らず、全般的に他人に無関心な社会になってきたことが、更に虐待を生む温床となっていることが、それぞれの主人公の目を通して如実に描かれています。 ただ、この小説の中では、虐待にあっている(あっていた)人たちに救いの手を差しのべる人が必ずいるので、読後は心が温かくなります。 そういう小説の温かさは、全く救いのない状況を描くリアリズムより、人の心に火をつけるものがあるように思います。 子育て中の人に限らず、多くの人に薦めてみたい本です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.03.24 01:13:38
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