大企業を儲けさせることしか頭に浮かばないらしい菅政権の枝野官房長官は原発を口実にして温室効果ガス削減を放棄へ
4日に開かれた記者会見で枝野幸男官房長官は温室効果ガス排出量に関する国際的な約束を「検討」すると表明した。2009年9月に当時の首相、鳩山由紀夫は2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減すると約束したのだが、これを放棄するということである。菅直人政権の「公約放棄」は珍しくない話で、驚きではない。 菅政権が温室効果ガス削減に消極的なことは昨年12月にはっきりしている。カンクンで開かれた国連気候変動会議(COP16)の初日、日本政府は「いかなる条件、状況下でも京都議定書の第2約束期間の下で目標を書き込むことは絶対合意しない」と表明したのである。 京都議定書で日本政府は1990年比で2012年までに温室効果ガスを二酸化炭素換算で6%削減すると約束していたのだが、その後、まじめに削減しようとしたとは思えず、排出量は増え続けていた。アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権がこの取り決めから離脱したこともあり、発効しないと高をくくっていたのだろう。そうした思惑は2004年、ロシアが批准して脆くも崩れ去った。そこから迷走が始まる。 日本政府のこうした態度は、言うまでもなく、巨大企業の意向に基づくもの。財界は「経済活動」にマイナスになると抵抗してきた。つまり原発利権と背後関係は同じだ。 環境規制に反対しているのは日本企業だけではない。アメリカでティー・パーティーを支援、労働者の権利を剥奪することに熱心なコーク兄弟たちは汚染規制や温室効果ガスの削減に強く反対している。 鳩山由紀夫の約束は財界の意志に反するものだった。菅政権は温室ガス排出量を削減するという約束を如何にして破るか、頭を悩ませていたはず。今回の原発事故は削減放棄の口実になると考えたのだろう。相変わらず、日本政府は大企業/財界の利益しか考えていないようだ。 蛇足だが、燃料の製造から放射性廃棄物の処理、保管(最終的に無害化するような技術は存在しない)を考えると、原発は大量のエネルギーを消費、相当量の温室効果ガスを排出し続けることになる。