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《櫻井ジャーナル》

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2011.01.01
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 日本の政府やマスコミは第2次世界大戦の前と同じで、好戦的な雰囲気を広めようとしている。経済力で勝てないなら軍事力がある・・・と日本のエリートは考え始めたようだ。もっとも、こうしたことを言い始めたのはアメリカの好戦派、つまり戦争ビジネスにつながるグループ、ネオコン(新保守)、キリスト教系カルト集団などだが。

 一部の大企業/支配層に富を集中させる政策を日本政府が続けた結果、庶民は疲弊し、社会システムが崩壊し始めている。無能なエリートを有能な庶民が支えてきた日本で、庶民を疲弊させる政策を採れば社会が機能不全になるのは当然のことだ。そうした流れが2011年に変化するとは考えにくい。

 それに対し、中国では経済が急速に発展している。日本で庶民の教育水準を意図的に低下させていることもあり、少なくとも都市部の場合、学生の能力は日本を上回り、日本企業は中国で積極的に若者を採用する傾向にある。10年後、20年後になると、日本は中国に置いていかれている可能性が高い。1980年代から日本で続けている「エリート教育」の必然的な結果だとも言える。

 例外はあるものの、日本のエリートの多くはペーパー・テストで点を取ることしか能がなく、自分たちで戦略をたてることができない。で、アメリカの「強そうなグループ」に丸投げし、その後を追いかけるわけである。これが「属国日本」の実態。

 アメリカの好戦派は19年前からワシントンで活発に動き始める。その出発点と言えるものが1992年にアメリカ国防総省が作成したDPG(国防計画指針)。潜在的なライバルを軍事力で事前に潰してしまうというのだ。ソ連の消滅した世界でアメリカは「唯一の超大国」になったと考え、アメリカを中心とした「新秩序」を維持するためには軍事力を前面に出すべきだというわけである。そのターゲットには西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、そしてエネルギー源が地下に眠っている南西アジアを挙げ、特にイラクと朝鮮に注目、「必要なら先制攻撃の準備をするべきだ」と主張している。

 この指針を実際に作成したのは、I・ルイス・リビー、ポール・ウォルフォウィッツ、ザルマイ・ハリザードというネオコン人脈だが、その背後には、国防総省系のシンクタンク「ONA(ネット評価室)」で室長を務めていたアンドリュー・マーシャルがいた。

 あまりに好戦的な内容だったことから外部にリークされ、よりソフトな内容に書き換えられたようだが、それで引き下がるマーシャルではなかった。2001年にジョージ・W・ブッシュ政権がスタートすると、ドナルド・ラムズフェルド国防長官は軍事戦略の大幅な変更に着手する。この戦略変更の中心にいたのがマーシャルだ。新戦略の内容は基本的にDPGと同じで、軍事的な焦点をヨーロッパからアジアへシフトするとしている。

 マーシャルの主張に異を唱えたのが太平洋軍司令官だったデニス・ブレア提督。2001年5月17日付けのニューヨーク・タイムズ紙によると、アメリカ軍の基地や海軍にとって中国は1970年代のソ連とは違い、脅威になっていないとブレア司令官は反論している。つまり、数十隻の潜水艦、数百機の長距離爆撃機、数十の衛星、多くの経験という要素が欠けているというわけだ。アメリカ軍を攻撃するためには、長距離ミサイルだけでなく、偵察や通信のシステムを開発する必要があり、OTH(超長距離)システムがなければ攻撃は不可能だともしている。

 アメリカ人が交易し、旅行し、平和的に交流できるようにすることがアメリカ軍の最終目的だとしていたブレア提督は反論から間もなく退役に追い込まれた。

 2003年にアメリカの好戦派はイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を崩壊させているが、これは1992年以来の計画ということになる。もうひとつのターゲット、朝鮮に対する攻撃準備が明確になるのが1998年。

 この年、朝鮮に対する先制攻撃、体制転覆、傀儡政権の樹立という軍事作戦「OPLAN 5027-98」が作成され、朝鮮の体制が崩壊した場合を想定した「CONPLAN 5029」が翌年に作成されている。

 OPLAN 5027-98が作成される3年前、ジョセフ・ナイ米国防次官補が「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を公表しているが、これもDPGに始まる好戦的な戦略の一環だと言えるだろう。日本政府はこの戦略に乗ったわけで、朝鮮や中国への挑発行動はシナリオ通りということだろう。

 昨年の末、スターズ・アンド・ストライプス紙は、米太平洋軍司令官のロバート・ウィラード提督が朝日新聞に語った内容を紹介するという形で、「中国の脅威」に関する記事を掲載した。中国は航行中の空母を1200から1800マイル(1900から2900キロメートル)の距離から攻撃できる「初期の作戦能力」を保有しているというわけだ。

 しかし、これで中国軍がアメリカ軍にとって脅威だとは言えない。1970年代から軍事戦略の軸になっているのは原子力潜水艦であり、空母を攻撃しても潜水艦から核ミサイルを発射されてしまう。少なくとも先制攻撃をするためには、敵国の原子力潜水艦の位置を正確に把握し、破壊する能力が必要になる。つまり、たとえ空母を攻撃する「完全な作戦能力」を手にしたとしても、防衛的な意味しかない。しかも、ウィラード提督は中国のミサイルは発射実験がまだで、「完全な作戦能力」にはまだ達していないと認めている。

 ウィラード提督の話に対する「反論」は10年前、ブレア提督がすでに行っていると言えるだろう。





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最終更新日  2011.01.01 16:30:08



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