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《櫻井ジャーナル》

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2011.01.09
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 菅直人政権が推進しようとしているTPP(環太平洋連携協定)によって、日本の農業が壊滅的な打撃を受ける可能性はきわめて高い。農業を中心に動いている地域の経済も破壊されるということである。前原誠司外相は、GDP(国内総生産)の1.5%にすぎない第一次産業を守るために他を犠牲にできないと言ってのけた。人間、生きていくためには食べ物が必要だということを理解していないらしい。

 数十年前まで、東京の近郊でも水田や畑があり、農作物を生産していた。そうした田畑は宅地開発などで消えてしまい、農作物は大都会から離れた地方で作られているだけだ。しかも農業の担い手は高齢化している。カネを積めばいくらでもコメが出てきた敗戦直後とは違い、現在の農業生産力は崩壊寸前にある。食糧生産を軽視する政策の結果だが、その行き着いた果てがTPPだとも言える。

 大都会の周辺から田園風景が消えても問題はなかったのだから、日本から田園風景が消えても問題はないと考えている人もいるだろう。確かに、今のところ、アメリカ、中国、あるいはオーストラリアなど世界中から輸入できている。が、そこは外国。日本政府の手が届かない国々だ。どのような理由で輸入がストップするかわからない。かつての「満州国」のような傀儡国家をでっち上げ、農作物を生産するつもりなのだろうか?

 そういえば、前原外相は以前から中国を「脅威」だと叫んでいる人物。昨年9月8日の事件でも黒幕だと強く疑われている。その日、石垣海上保安部の巡視船が尖閣諸島で中国のトロール漁船の船長を逮捕したのだが、この取り締まりは日中漁業協定を無視したものだった。

 この協定によると、その海域では「自国の漁船を取締り、相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行う」ことになっていた。つまり、何らかの問題が中国の漁船にあったとしても、海上保安部の巡視船が取り締まれないことになっていたのである。石垣海上保安部がこの協定を知らなかったはずはない。少なからぬ人は、当時の国土交通相、前原が協定を破れと命令したのだと信じている。

 国際的な協定を一方的に破る重大さを改めて指摘する必要はないだろう。誰の意志で漁業協定を破ったにしろ、その人物が日本と中国との関係を悪化させ、東アジアの軍事的な緊張を高めたいと願っていたことは間違いない。要するに、尖閣諸島での取り締まりは挑発行為だった。

 中国との関係が悪化すれば、日本の食糧事情も悪化する。アメリカから輸入すれば良いとでも思っているのだろうか?

 現在、穀物取引の世界では、カーギルとアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドの2社が圧倒的な力を持っているようだ。カーギルなどは現在でも「個人経営」の会社で、その実態は闇の中だ。1970年代の半ばにアメリカ上院の外交委員会多国籍企業小委員会で穀物メジャーの実態について調べたこともあるが、「徹底的」とは到底、形容できないものだった。まして、個人で調べようとすると、犯罪組織の手が伸びてくることは常識化している。

 食糧を扱う会社だからといって平和的だとは言えない。例えば、グアテマラで民主的プロセスを経て選ばれたヤコボ・アルベンス・グスマン政権をユナイテッド・フルーツはCIAと手を組み、軍事クーデターで潰している。この会社には、1920年代に労働者をハイチやサント・ドミンゴからキューバへ売り飛ばした過去もある。

 アメリカの農業を支えてきた地下水は近い将来に間違いなく枯渇し、農産物の生産力は落ちるはず。工業化が進む中国で農産物の輸出余力が増えるとも思えない。そうした状況の中、日本の政府、財界、官僚が目論んでいることは、自分たちの懐にカネを溜め込むため、日本人が生きる糧を一部の食糧メジャーに依存するということになる。

 イスラエル政府のガザ封鎖は経済破壊にあり、支援物質の搬入を「パレスチナ人が餓死しない程度」に抑えている。餓死者が出なければ、「危機でない」と主張できないという判断のようだ。日本の農業が破壊されてしまうと、いつガザと同じようになっても不思議ではない。





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最終更新日  2011.01.09 14:10:49



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