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《櫻井ジャーナル》

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2011.04.08
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 日本社会を破壊してきた「神話」、あるいは「教義」のひとつは原子力発電所が安全だというものだった。この神話/教義は東日本地震で大きなダメージを受けたが、カルト教団と同じで、原子力利権集団は決して神話/教義を捨て去ろうとはしない。自分たちの支配的な立場が崩壊してしまうからだ。

 そこで、神話/教義を検証するようなことはしない。神話/教義を前提とした話で誤魔化そうとする。原発の場合、破滅的な事故を避けることは不可能だという現実には目をつぶり、「より強固な原発」を作れば問題ないかのように主張するわけだ。

 大企業を儲けさせ、「国際競争力」を強めれば日本社会が繁栄するという神話/教義も日本人の頭に叩き込まれてきた。そうした洗脳で重要な役割を果たしたのは、原発の「安全神話」と同じでマスコミ。

 国際競争力という神話/教義に基づき、政府は庶民から教育や適切な医療を受ける権利を奪い、劣悪で不安定な条件で働くことを強制し、社会保障などは「贅沢」だとして取り上げ、様々な口実で負担を押しつけるる一方、大企業や富裕層の負担を軽減してきた。環境規制を廃止させるため、大企業/富裕層が多額の工作資金を投入していることも確かである。

 その象徴的な存在がコーク(日本ではコッホなどと書かれることもあるが、コークが原語に近い表現)兄弟。彼らの財団は気候変動否定論を広めることにも熱心で、否定論を主張しそうな学者に研究費を出している。そうした学者のひとりがカリフォルニア大学バークレー校のリチャード・ミュラー教授なのだが、コークたちの思惑に反する結論に到達しているようだ。コークたちの「証言偽造」にほころびが見える。

 それはともかく、富を集中させれば「カネ余り」と貧困の深刻化が進む。だぶついた資金は社会に還流されることなく、投機資金として世界を徘徊し、人々の生活を破壊していく。投機とは所詮、博奕にすぎないわけで、早晩行き詰まり、破綻する。そうなったときには貧困化した庶民からさらに富を搾り取るだけのことである。

 世界的に見れば、こんな神話/教義はとうの昔に破綻しているのだが、日本ではまだ影響力を保持している。その大きな原因は、日本の「宗主国」的な存在であるアメリカがこの神話/教義を維持しているからだろう。その実態は少なからぬ人によって指摘されてきたが、バニティー・フェア誌の5月号にも、そうしたアメリカの実態を批判する論文が掲載されている。

 そのアメリカでは1%の人間が全年間収入の4分の1を手にし、富の約4割を支配しているのだという。そうした資金の一部は政界へ流れ、政治家をコントロールするために使われる。そして作り出される「社会」では、公平さ、機会の平等、共同体の連帯感などは失われてしまう。1%の人間にとっては心地良い環境だ。

 2001年にノーベル経済学賞(アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞)を受賞したジョセフ・スティグリッツに言わせると、こうしたアメリカの状態は「1%の、1%による、1%のための」システムということになる。





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最終更新日  2011.04.08 16:37:59



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