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イスラエルを取り巻く環境が厳しくなっている。これまでは封印されてきた不満や怒りが表面に漏れはじめたということだ。ロバート・ゲーツ前国防長官もイスラエルを「恩知らずな同盟国」と表現しているが、アメリカにとっても「お荷物」になりつつあると言えるだろう。もっとも、1980年代にゲーツはイスラエル/ネオコンとイラクをめぐって対立した人物だが。
ちなみに、ゲーツのバックにはジョージ・H・W・ブッシュ副大統領(当時)やジェームズ・ベーカー財務長官(同)がいた。が、それでも、これほどあからさまにイスラエルを批判したことはなかっただろう。 イスラエルを信頼していないという点ではFBIも負けていない。ワシントンDCにあるイスラエル大使館を盗聴していたことが発覚したのである。FBIの翻訳官、シャマイ・レイボウィッツがリチャード・シルバースタインにその情報を漏らし、翻訳官は懲役20カ月を言い渡された。 しかし、話はそれで終わらなかった。イスラエルがイランの核施設を攻撃する可能性、あるいはイスラエルの外交官がアメリカの議員に影響力を及ぼしたり、国民の意見を形成しようとしていることをレイボブィッツは懸念していたことも表面化した。 イスラエルは以前から傲慢な国だったが、21世紀に入ってから度が過ぎる。その背景には旧ソ連圏からの亡命者や移民の増大があると言えるだろう。 1991年7月にロシア大統領となったボリス・エリツィンだが、それでは満足できず、独裁的な権力を握るために1993年、議会を戦車で攻撃して100名以上、あるいは約1500名の議員を虐殺している。クーデターを「西側」は非難しなかった。 エリツィン政権ではミルトン・フリードマン流の経済を推進、「規制緩和」や「私有化」といった掛け声で国民の財産を特定の人物へ二束三文で払い下げ、一握りの富豪を生み出し、庶民は貧困化させた。富豪たちは情報機関や特殊部隊の隊員、あるいは元隊員を雇って武力抗争を展開していく。中でも有名な人物がチェチェン・マフィアと手を組んでいたボリス・ベレゾフスキーだ。 しかし、1999年になるとエリツィン時代は終焉を迎える。庶民の怒りが独裁者を「玉座」から引きずり下ろしたのである。2001年にベレゾフスキーはイギリスのロンドンへ亡命、「プラトン・エレーニン」と改名した。 エリツィン時代に甘い汁を吸っていた少なからぬ富裕層がイスラエルへ亡命しているのだが、このベレゾフスキーも少なくとも一時期、イスラエルの市民権を持っていた。 こうした富裕層には勿論、財産がある。その財産によって、イスラエルの政治にも大きな影響力を持つようになった。旧ソ連圏からの移民も大きなインパクトをイスラエルに与えた。 21世紀に入ってからのイスラエル首相は、リクード/カディマのアリエル・シャロン、カディマのエウド・オルメルト、そしてリクードのベンヤミン・ネタニヤフ。いずれの政権とも和平には背を向けている。ガザ支援船「マビ・マルマラ」を襲撃した事件はイスラエルの現状を示している。 この襲撃は昨年5月、公海上で行われた。実行部隊はイスラエル海軍の特殊部隊「シャエテット13」で、ジャミングで通信を妨害して外部との連絡を絶ったうえで襲いかかり、マビ・マルマラ号に乗っていた9名が殺されている。その際、襲撃部隊員はジャーナリストらが撮影した映像を押収し、事件後に外部の調査に抵抗したものの、国連で非難されることになる。モサド(イスラエルの情報機関)の長官を務めていたメイア・ダガンがイスラエル議会で支援船襲撃を批判するほどの愚かな行為だった。この一件で「友好国」だったはずのトルコが離反、イスラエルは孤立しつつある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.09.08 04:53:51
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