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《櫻井ジャーナル》

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2013.02.06
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 先月、一歩間違えると自衛隊と中国軍が衝突する事態になっていたことが小野寺五典防衛相から明らかにされた。中国軍のフリゲート艦が火器管制レーダーを自衛隊のヘリコプターにロックしたのが19日のこと。30日には自衛隊の駆逐艦(護衛艦)がレーダーのターゲットになったという。

 この小野寺防衛相は15日、つまりヘリコプターがターゲットになる4日前、記者会見で中国軍を刺激する発言をしていた。

記者:「つまり、中国の飛行機が日本のいわゆる領空に入ってきた場合、この警告射撃ということは、ありうるということでしょうか。」

大臣:「どこの国も、それぞれ自国の領空に他国の航空機が入って来て、さまざまな警告をした中でも退去しない、領空侵犯を行った場合、これはそれぞれの国がそれぞれの対応を取っておりますし、我が国としても、国際的な基準に合わせて間違いのない対応を備えていると思っています。」

 尖閣諸島(釣魚台群島)を係争地でないとするのが日本政府の主張であり、係争地だと認識している鳩山由紀夫元首相を小野寺防衛相はBSフジの番組で「国賊」だと罵倒している。尖閣諸島を特別扱いしない以上、状況によっては警告射撃の可能性はある。16日の記者会見では菅義偉官房長官も、領空侵犯機に対しては国際的な基準に基づき、厳正な対領空侵犯措置を実施すると述べている。

 しかし、言うまでもなく、中国や台湾も尖閣諸島/釣魚台群島は自国領だと主張しているわけで、彼らから見るならば、自衛隊の航空機や艦船は領空/領海を侵犯しているということになる。日本政府の発言が中国や台湾の政府から同じ対応を引き出しても不思議ではない。日本政府がそれを願っていた可能性もある。

 中国の艦船がレーダーをロックしたのは日本側に対する警告であると同時に、こうした日本政府の姿勢を放置することは危険だというメッセージをアメリカ政府に送ったのだとも解釈できる。尖閣諸島が係争地でないという主張は、中国や台湾と日本が軍事衝突し、戦争の勃発を引き起こしかねないということ。これは本ブログでも指摘した。

 もし、以前にも中国側がレーダーをロックすることがあったとするならば、なぜ今回、このタイミングで発表したのかという疑問が出てくる。1月25日に公明党の山口那津男代表が北京で中国共産党の習近平総書記と会談、安倍晋三首相の親書を手渡したことが日中双方に影響を及ぼしているだろうが、やはり1月15日の小野寺発言は重要な意味を持っている可能性が高い。

 現在、アメリカでは次期国防長官をめぐって激しいバトルが繰り広げられている。大統領が指名したチャック・ヘイゲル元上院議員にネオコン(親イスラエルの好戦派)が拒絶反応を示しているのだ。ヘイゲルは共和党員だが、ジョージ・W・ブッシュ政権の戦争政策には批判的な姿勢を見せていた。戦乱が拡大しないように、イラクやアフガニスタンから撤退するべきだとも考えているようだ。

 ワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワードによると、就任直後のバラク・オバマをヘイゲルは訪問、ジョージ・H・W・ブッシュ政権の時代から大統領は国防総省を制御し切れていないと語ったという。ブッシュ・シニア時代の軍事戦略はネオコン人脈が仕切っていた。

 ドワイト・アイゼンハワー大統領は1961年1月の退任演説で「軍産複合体」への警戒を呼びかけている。1970年代の半ば、ジェラルド・フォード政権ではネオコンが合流し、「修正主義シオニスト世界連合」の流れをくむ好戦派と結びついた。2001年9月11日の出来事を切っ掛けにして、ますます強大になっている。

 ブッシュ・シニア政権では、潜在的なライバルを軍事力で葬り去るというDPG(国防計画指針)の草稿が書かれたが、その草稿を書いていたグループのひとり、国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツは当時、シリア、イラン、イラクを「掃除」するとしていた。

 この草稿は書き換えられたようだが、その後も「影の戦略」として生き続け、2000年にPNACの「米国防の再構築」として復活、ブッシュ・ジュニア政権に採用された。

 こうした好戦的な戦略の発信源はアンドリュー・マーシャル。1921年に生まれ、シカゴ大学で経済学を専攻し、49年に国防総省系のシンクタンク、ランド・コーポレーションに入っている。リチャード・ニクソン政権の時代、1973年にONA(ネット評価室)が設置されると、その室長に就任した。当初は「ソ連の脅威」を主張し、ソ連が消滅してからは「中国の脅威」を叫び続けている。

 シカゴ大学にはネオコンの思想的な支柱と言われるレオ・ストラウスも教授として名を連ねていた。新自由主義経済の教祖的な存在、ミルトン・フリードマンも1946年から76年までシカゴ大学で経済学の教授を務めている。

 1960年代、下院議員だったドナルド・ラムズフェルドはシカゴ大学のセミナーに参加し、そこでフリードマンに心酔するようになったという。ラムズフェルドの弟分にあたるのがリチャード・チェイニーだ。両者はフォード政権で台頭、ブッシュ・ジュニア政権でラムズフェルドは国防長官、チェイニーは副大統領を務めた。

 中東/北アフリカでは、ラムズフェルド、チェイニー、ウォルフォウィッツなどの好戦派がアメリカを戦争へ引きずり込みんだ。この地域ではサウジアラビアやカタールが資金を提供、アル・カイダが傭兵として動いているが、東アジアでは日本がスポンサーと傭兵の二役を押しつけられそうだ。日本は破滅の瀬戸際にある。





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最終更新日  2013.02.07 15:30:03



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