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《櫻井ジャーナル》

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2013.03.05
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 2年前の3月8日、イギリスのインデペンデント紙は石原慎太郎都知事(当時)のインタビュー記事を掲載した。前にも書いたことだが、その中で日本は核兵器を作るべきだと石原はおだをあげ、佐藤栄作政権が独自に核兵器の開発を続けていたならば、朝鮮による「拉致事件」も起こらなかったと主張する。

 1年以内に核兵器を保有できると語り、仮想敵国として中国や朝鮮のほか、ロシアを挙げている。こうした国々を恫喝できるだけでなく、全世界に対して「強いメッセージ」を送ることになるとも主張したようだ。彼が考える「理屈」によると、外交の交渉力とは核兵器を意味している。

 石原が特に意識しているのは中国。恐らく劣等感の裏返しで、チンピラ、いや幼児のように周辺のアジア諸国を口汚く罵りたがるが、面と向かって議論する度胸、能力はないようだ。アメリカに対しても安全な場所から吠えてみたりするが、これは計算尽くで腰が引けている。問題が起こったなら、自分より立場の弱い人間に押しつけて逃げる。

 石原の周辺には宗教/カルトの臭いがぷんぷんするが、社会的な弱者、例えば障害者や公害の被害者などに対して露骨に蔑んでみせる。「間違ったこと」はしたくないが、不当なものを手に入れたがる類の人びとにとって、自分の代わりに「間違ったこと」を言ってくれる石原は心地良い存在なのかもしれない。

 インディペンデント紙の記事には、2010年9月に尖閣諸島/釣魚台群島の近くで引き起こされた出来事が登場する。この諸島の領有権は田中角栄政権の時代に「棚上げ」ということになり、日本が占有する形で推移してきた。それを日本が壊したのである。海上保安庁が「日中漁業協定」を無視する形で中国の漁船を取り締まり、その際に漁船が巡視船に衝突してきたとして船長を逮捕したのだ。

 海上保安庁は国土交通省の外局だが、事件当時に国土交通大臣を務めていたのが前原誠司。事件の直後、外務大臣に就任している。国交省が日中関係を悪化させたとしても、本来なら外務省がカバーすることになる。が、国交大臣と外務大臣が同一人物である。この人事自体、菅直人政権が中国との関係悪化を望んでいたことを暗示している。

 この逮捕劇で日本は中国人船長を釈放しているが、それが気に入らないと石原は叫ぶ。弱腰だというわけだ。彼の理屈では、日本が核兵器を持っていれば漁業協定を無視して中国人船長を逮捕しても許され、ロシアだって日本を尊敬するということになるらしい。(だから朝鮮も核兵器を欲しがっているのか?)

 核兵器を保有するだけでなく、高性能兵器を輸出しろとも語っている。「零式艦上戦闘機(ゼロ戦)」の幻影に取り憑かれているようで、かつて、日本は世界最高の戦闘機を作り上げたとも自慢する。夢よもう一度、ということのようだが、ゼロ戦の優位が長く続かなかったことを忘れてはならない。

 この記事が掲載された翌日に三陸沖でマグニチュード7.3の地震があり、この地震に誘発されたかのようにして11日にマグニチュード9.0の巨大地震、いわゆる「東北地方太平洋沖地震」が発生する。この巨大地震で東電の福島第1原発が「過酷事故」を起こし、大量の放射性物質を環境中に放出、いまだに収束の目処はたっていない。

 地震で原発の下には無数の亀裂が入っているはずで、放射性物質は今でも外部へ漏れ出ている可能性が高い。地震や台風など、何らかの原因で4号機の使用済み核燃料プールが崩壊したならば、日本全土が生活に不適切な場所になるだけでなく、人類の生存に関わる問題になると懸念されている。

 事故から1年ほどして、つまり今から1年ほど前、兵器級プルトニウムに関する情報(原文日本語訳)が入ってきた。CIAの幹部に情報源を持つジャーナリスト、ジョセフ・トレントが日本は1980年代から一昨年3月までに70トンの「兵器級プルトニウム」を蓄積、その隠れ蓑に電力会社が利用されてきたというのである。このプロジェクトにはアメリカの核ビジネスが関係しているという。核実験を行ったとしても不思議ではない。

 原発事故の後、日本政府/東電は膨大な量の超高濃度放射能汚染水を太平洋に流し始め、太平洋の沿岸では今後、深刻な被害も予想されるのだが、そうした現実を無視して日本人は事故を水に流し、忘れようとしている。支配層は核兵器の開発を忘れていないだろうが。





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最終更新日  2013.03.06 16:39:19



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