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《櫻井ジャーナル》

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2013.09.09
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 シリア沖の海域にアメリカ、フランス、ロシア、中国が軍艦を集結させ、イギリスはキプロスに戦闘機を送り込んでいる。アメリカ政府はこうした軍事的な緊張を緩和する意思がないようで、チャック・ヘイゲル国防長官によると、バラク・オバマ大統領はあらゆる偶発的事態に備えるように指示したという。当然、ロシアや中国との戦争も視野に入れているということで、世界大戦も辞さず・・・とも受け取れる。

 オバマ政権はシリアを攻撃する理由として、8月21日にシリア政府軍がダマスカス近郊のゴータで化学兵器のサリンを使用したからだとしているが、本ブログでも指摘しているように、証拠を示していない。しかも、反政府軍が何らかの化学兵器を使った疑いは濃厚。3月にも似た状況があったのだが、そのときに化学兵器を使ったのは反政府軍だとする100ページの報告書をロシア政府は7月に国連へ提出している。

 シリアでは早い段階から外部から特殊部隊が潜入していると推測されている。イギリスとカタールの特殊部隊が潜入しているとイスラエルのメディアが報道したほか、民間情報会社ストラトフォーの電子メールにはアメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコの特殊部隊が入っているという推測もある。

 8月22日付けのフィガロ紙によると、アメリカ、イスラエル、ヨルダンの特殊部隊員に率いられた300名の戦闘部隊がシリアへ潜入、19日には第2陣が入ったとしている。別の報道では、17日に250名、19日には300名だとされている。戦闘員はヨルダンで数カ月にわたって特殊工作の訓練を受けていたようで、大規模な作戦を予感させる動きだった。

 言うまでもなく、特殊工作部隊がシリアへ入ったのはゴータで化学兵器が使用されとされる日より前。問題の日に、この潜入部隊はゴータの近くにいた可能性がある。トルコやヨルダンで反政府軍の兵士は欧米に雇われた傭兵から化学兵器の取り扱いも教えられているとも言われ、この特殊工作部隊も化学兵器を扱えたとも考えられる。

 本来なら、このままアメリカ、イギリス、フランスはシリアに対する空爆を実施、それに呼応して地上部隊も総攻撃する予定だったのかもしれないが、ロシアのビタリー・チュルキン国連大使が国連の臨時会合で、反政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルが発射され、ゴータで着弾していることを示す文書と衛星写真を明らかにしたようで、その頃から状況は一変した。その影響はアメリカにも及んでいる。

 リビアでも似た動きがあった。首都、ダマスカスを攻略する際、「西側」や湾岸産油国は事前に手勢を市内に潜入させ、武器も運び込んでいるのだが、その際に自国の特殊部隊も潜入させていた。

 特に活発だったのはイギリス。数週間をかけて武器、通信機器、そして精鋭部隊をトリポリに送り込み、MI6(対外情報機関)は「暫定国民評議会」が作成した攻撃プランを添削、アドバイスしていた。

 首都攻撃が始まると、イギリス軍は精密誘導爆弾のペイブウェイ IVを情報機関の基地に落とし、トルネードGR4戦闘機がトリポリ南西部にある重要な通信施設を破壊、海からも攻撃している。

 リビアではNATO軍の空爆とアル・カイダを主力とする地上軍の連携で体制を倒すことができたが、シリア政府も同じように潰したいのだろう。イスラエルやサウジアラビアの圧力もあり、アメリカ政府は強硬姿勢を崩さず、巡航ミサイルの攻撃にとどまらない可能性を否定できない。すでにアメリカ軍は巡航ミサイルを搭載した5隻の駆逐艦のほか1隻の揚陸艦を地中海に配備、紅海にも空母ニミッツと3隻の軍艦が控えている。

 これに対し、ロシアは対潜艦と巡洋艦をまず派遣、ここにきて2隻の揚陸艦と情報収集船をシリア沖へ向かわせ、さらにもう1隻の揚陸艦も合流すると言われている。中国も数隻の艦船を地中海に入れたようだ。

 1991年の湾岸戦争でアメリカ政府はサダム・フセインを排除しないままイラクと停戦した。このことにポール・ウォルフォウィッツ国防次官などネオコン(親イスラエル派)は怒るのだが、そのときソ連軍が出てこなかったことで強気になり、軍事力で中東/北アフリカを制圧できると考えたようだ。この段階でウォルフォウィッツはシリア、イラン、イラクを殲滅するとしていたとウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官は語っている。

 当時はソ連が消滅する寸前で、しかも「西側」の傀儡だったボリス・エリツィンが主導権を握っていた。イラクと米英との戦争に介入するどころの話ではない。当時と今は全く違う状況下にあるということだ。今回もロシアが出てこないと考えていたとしたならば、相当の愚か者だということになるが、そうしたことはないだろう。だからこそ、アメリカ軍は戦争を嫌がっている。

 現在、戦争に最も積極的な姿勢を見せているのはイスラエル/ネオコンやサウジアラビア。次はイランということだろうが、アメリカとロシアを戦わせ、双方を疲弊させようとしている可能性もある。かつて、ナチの残党や旧日本軍の一部が考えていたプランだ。





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最終更新日  2013.09.09 18:05:20



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