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安倍晋三政権は「集団的自衛権」を早期に実現するため、アクセルを踏み込んだ。その背景にはバラク・オバマ米大統領の来日があるのだろう。
オバマ大統領は4月22日から29日にかけてアジアを歴訪、23日から25日にかけては日本に滞在した。その後、韓国、マレーシア、フィリピンを訪れている。一方、安倍首相は4月28日から5月4日までロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、そしてトルコを訪問していた。 安倍首相がロシアを離れた2日後、ウクライナのクーデター政権はドネツク州スラビャンスクなど東部の都市を軍事制圧する作戦を開始。4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを偽名を使って極秘訪問、22日にジョー・バイデン米副大統領もキエフ入りしていることから、作戦はアメリカ政府の承認、あるいは命令を受けてのことだと見られている。掃討作戦が決定された後、IMFは融資(支援ではない)を決めるが、有事の条件に東部や南部の制圧という条件がつけられていた。 ウクライナの戦乱は「西側」の支援を受けたネオ・ナチがクーデターを実行したところから本格化する。2月18日頃からネオ・ナチはチェーン、ナイフ、棍棒を手に、石や火炎瓶を投げ、ブルドーザーなどを持ち出し、中にはピストルやライフルを撃つ人間も出始める。 混乱を収拾するため、21日にヤヌコビッチ大統領は反ヤヌコビッチ派と平和協定を結ぶのだが、その翌日から建物の屋上から狙撃が始まって多くの死傷者が出る。議会の機能は麻痺、議長を務めていたボロディミール・リバクを「EU派」が脅迫して辞任させてアレクサンドル・トゥルチノフを新議長に据え、すぐに憲法の規定を無視して新議長が大統領代行に任命される。キエフ市街ではネオ・ナチのメンバーが警官隊(ベルクト)の隊員を拉致、拷問したうえ、殺害している。目を潰された状態で発見された隊員の死体もあるようだ。 多くの死傷者を出した狙撃を命令したのはビクトル・ヤヌコビッチ大統領だと「西側」では宣伝されたが、実際は違った。2月25日にキエフ入りして調査したエストニアのウルマス・パエト外相はその翌日、親EU派の医師から聞いた話に基づき、EUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ電話で次のように報告している: 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」「新連合はもはや信用できない。」 「西側」ではビクトル・ヤヌコビッチ政権が命令したと宣伝されていたが、リビアやシリアでも体制転覆を狙うグループが政府派と反政府派、双方を狙撃していたことからウクライナでも似たことがあるだろうと予想されていた。 21日に調印された平和協定を嫌っていたのがネオコン(アメリカの親イスラエル派)。話し合いで解決しようというEUの方針を「ソフト」だと怒り、「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」と口にしたビクトリア・ヌランド国務次官補はネオコンを象徴する人物だ。このヌランドが高く評価していたアルセニー・ヤツェニュクは後にクーデター政権の首相代行になる。 ヤツェニュクは1998年から2001年までアバル銀行で働き、03年から05年までウクライナ国立銀行の副頭取、そして頭取を務めた人物。2005年頃からサイエントロジーなる団体のメンバーになっていると言われている。サイエントロジーはアメリカの「疑似宗教団体」で、映画俳優のトム・クルーズが信者だということでも知られている。 憲法の規定を無視、ネオ・ナチを使い、選挙で選ばれたヤヌコビッチ大統領を追い出してトゥルチノフ大統領代行/ヤツェニュク首相代行のクーデター政権が「西側」の支援で成立すると、東部や南部で住民の反発が広がる。治安機関や軍の内部でも離反者が少なくないようで、キエフのクーデター政権が独力で制圧できる状況ではなくなった。 1月の段階でシリアから約350名の戦闘員がウクライナ入りしてクリミアへ潜入、3月からアメリカの傭兵会社に所属する戦闘員(民間特殊部隊)が数百人単位でウクライナ入りしたと言われ、セルゲイ・ラブロフ露外相は、約150名の傭兵がウクライナのソコル(特殊機動警察)の制服を着て活動していると語っていた。 この傭兵会社とはアカデミ(旧社名はブラックウォーター)系列のグレイストーン。ドネツクへオリガルヒ(一種の政商)のセルゲイ・タルタが知事として入った際、傭兵を従えていたとも伝えられている。 キエフのクーデターからオデッサでの虐殺まで中心的な役割を果たしてきたのはネオ・ナチだが、そのグループをNATOは軍事訓練、あるいは訓練に協力してきた。そのNATOはウクライナ周辺で軍事力を増強、戦闘機は通常の3倍に膨らんでいるようだ。 現在、ウクライナの東部や南部ではクーデター軍による掃討作戦が行われている。CIAやFBIのエージェントはキエフにいるようだが、アメリカの「元特殊部隊員」が大半の傭兵がその作戦に参加している可能性は高い。 それに対し、住民側にはウクライナの軍や治安機関の離脱者や退役軍人が加わって応戦している。装備の違いはあるが、簡単に制圧できそうにない。ロシア軍が介入しない一因はこの辺にありそうだ。 しかし、NATOとロシア軍が衝突する可能性がないとは言えない。日本が集団的自衛権を使うということはアメリカが動かしているNATOとつながることを意味するわけで、NATOとロシアが戦争を始めれば、日本はロシアや中国と戦争を始めなければならなくなる。 来日したオバマ大統領から安倍首相はロシアへ接近するなと脅されたようだが、これもウクライナ情勢が影響している。アメリカが支援するキエフのクーデター政権はネオ・ナチを使っているわけで、このネオ・ナチが戦争を始めたなら日本はファシストのために戦うことになる。 アメリカがネオ・ナチを使って破壊と殺戮を繰り返し、NATOもロシアを挑発している現実を無視、結果としてウクライナでの軍事的な緊張を煽り、安倍首相のロシア訪問を批判する人が「リベラル派」として影響力を持っているような国が集団的自衛権を手にすることは非常に危険だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.05.06 19:02:07
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