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《櫻井ジャーナル》

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2014.06.28
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 イラクでヌーリ・アル・マリキ首相とアメリカ政府との対立が明確になってきた。マリキ政権は反政府勢力を押さえ込むために航空兵力を増強しようと考え、アメリカ政府に対して2011年と12年にF-16戦闘機を供給するように要請、契約もしていたのだが、搬入が遅れている。アメリカ側は「予定通り」、今年秋に引き渡すとしているが、しびれを切らしたマリキ政権はロシアに戦闘機の提供を求め、中古ではあるが、数日で搬入する手はずだという。ロシア政府はマリキ支援を表明していたが、その約束が具体化してきた。

 航空兵力の重要性は、当然、アメリカも熟知している。リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を転覆させる際、反政府軍を編成すると同時に飛行禁止空域を設定、空爆させないようにしていた。ウクライナでは地上での劣勢を挽回するため、アメリカ/NATOに支援されたキエフ政権は空爆を実施している。

 繰り替えし書いていることだが、今、イラクで攻勢をかけているというISIS(イラク・シリアのイスラム国、ISIL/イラク・レバントのイスラム国やIEIL/イラク・レバントのイスラム首長国とも表記)の黒幕はサウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子であり、シリアではバシャール・アル・アサド政権を倒すための地上部隊として戦っている。

 アサド体制を倒すための「秘密工作」を実行しているのは、アメリカ、イギリス、フランス、トルコのNATO加盟国、サウジアラビアやカタールのペルシャ湾岸産油国、そしてイスラエルなど。こうした国々が資金や武器を提供し、ISISの戦闘員はヨルダン北部に設置された秘密基地でアメリカのCIAや特殊部隊から軍事訓練を2012年に受けたと伝えられている。

 現在、シリアやイラクではISISが目立つが、リビアのLIFGも根は同じアル・カイダ。イギリスのロビン・クック元外相も主張していたように、アル・カイダとはCIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル、つまり傭兵の登録リストにすぎない。つまり、名称には大した意味はない。

 表面上、現在の雇い主はサウジアラビアだが、その背後にはアメリカ/NATOやイスラエルが存在する。2007年に調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、アメリカ、サウジアラビア、イスラエルの「三国同盟」がシリアやイランをターゲットにした秘密工作を始めたと書いていた。その通りのことが起こっている。

 アメリカの支配層はISISをイラクのマリキ政権を倒し、自分たちに都合の良い状況を作り出そうとしている。最近、アメリカの好戦派議員たちはISISがアメリカへ攻めてくると大合唱している。もし何らかの攻撃があったなら、それはアメリカ支配層の指示に基づくものだ。そうした背景を、当然、マリキ首相も承知している。だからこそ、首相は今年3月、サウジアラビアやカタールが反政府勢力へ資金を提供しているとして両国を批判しているわけだ。

 ロシアの支援でマリキ政権がISISなど反政府勢力を押さえ込むことに成功したなら、アメリカはイラクの利権を失う可能性がある。ISISにアメリカ本土で破壊活動を行わせ、それを口実にして再度、アメリカ軍を軍事侵攻させることも考えられるが、そんなことをしていると経済的に破綻するだろう。

 すでにアメリカは足下が崩れ始めている。産業が崩壊して久しいが、直面している大きな問題はドルの基軸通貨としての地位が危うくなっていること。基軸通貨を刷る権利によってアメリカは支配システムを維持しているわけで、ドルが基軸通貨でなくなったら、そのシステムは崩壊するしかない。そうした苦境を軍事力で何とかしようと考えているのかもしれないが、裏目に出ている。





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最終更新日  2014.06.29 03:46:52



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