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《櫻井ジャーナル》

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2015.01.24
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 アメリカが続けている体制転覆プロジェクトを主導しているのはCIAと国務省だと言われている。つまり、軍ではなく、情報機関と政府の外交部門が行っている戦争だということである。その外交で重要な役割を果たしているのが大使館であり、そのトップが大使だが、イラク駐在のアメリカ大使を務めるスチュアート・ジョーンズによると、IS(イスラム国、ISIS、ISIL、IEILとも表記)の戦闘員、6000名以上を殺害、その中には戦闘を指揮している幹部の半数も含まれているという。拘束されている日本人がアメリカ国務省の宣伝に利用される/されていることも考えられるが、命をおもちゃにしてほしくはない。

 ISの兵力は9000から1万8000名だとアメリカの情報機関は推測、これが正しいなら大きなダメージを受けていることになるのだが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、アメリカを中心として空爆が始められてから約4カ月後、シリア領内でISが支配する地域は3倍に拡大したという。ISはCIAと国務省の地上部隊として編成されて戦っているとも言われ、ジョーンズ発言には疑問がある。

 勿論、状況が変化すれば、口封じということも含め、始末することは十分にありえる話なのだが、昨年9月に空爆を始めた翌朝、CNNのアーワ・デイモンは爆撃に疑惑があることを伝えた。最初に破壊されたビルは、その15から20日前の段階で蛻の殻だったというのである。空爆に関する情報がIS側に漏れている可能性が高い。

 それに対し、1月18日にイスラエル軍が行った空爆ではISと戦っていたヒズボラの部隊がターゲットになり、イラン革命防衛隊のモハメド・アラーダディ将軍を含む幹部が殺されたとされている。イスラエルはISを支援している。

 このケースに限らず、リビアに対する攻撃におけるNATOと同じように、イスラエルはアル・カイダ/ISを支援しているとしか考えられない。実際、2013年9月に駐米イスラエル大使のマイケル・オーレンは、アル・カイダよりアサド体制の打倒を優先するという趣旨の発言をしている。

 ISが注目を集めるようになったのは、イラクのファルージャやモスルを制圧してからだろうが、そうした動きをアメリカ軍は偵察衛星、通信の傍受、スパイ網などで把握していたはず。ところが、アメリカ政府は反応しなかった。イラク軍の一部指揮官が戦闘を回避したとも言われている。

 もし、バラク・オバマ政権が本気でISを壊滅させようと考えているなら、空爆の前に反シリア政府軍に対する資金や武器の援助、あるいは軍事訓練をやめ、石油の販売による資金調達を止めることから始めるべきだ。「穏健派」の反シリア政府軍とISがつながっていて、「投降」という形で資金、武器、戦闘員が移動している。状況に応じ、同じ集団のラベルを貼り替えているだけだという指摘もある。

 ISを雇っているのはサウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル(サウド・アル・ファイサル外相の兄弟)だとする情報がある。そうした話が流れる前、アル・カイダを動かしているのは同国のバンダル・ビン・スルタンだと言われていた。

 バンダルは王立空軍大学を卒業、アメリカのマクスウェル空軍基地で訓練を受け、ジョンズ・ホプキンス大学でも学び、1983年から2005年までは駐米大使、12年から今年4月までは総合情報庁の長官を務めた。現在は国家安全保障問題担当の顧問。アメリカの支配層、特にブッシュ家と親しく、「バンダル・ブッシュ」と呼ばれているほどだ。

 総合情報庁長官時代の2013年7月末、彼はロシアを極秘訪問、ウラジミール・プーチン大統領らに対し、シリアからロシアが手を引けば、ソチで開催が予定されている冬期オリンピックをチェチェンの武装グループの襲撃計画を止めさせると持ちかけたという。

 つまり、シリアから手を引かないとオリンピック期間中に襲わせるという脅しだが、これに対してプーチン大統領はサウジアラビアがチェチェンの反ロシア勢力を支援していることを知っていると応じた。このころからバンダルとアル・カイダとの関係は広く知られるようになる。

 ロシア訪問から2カ月余り後の10月2日、バンダル・ビン・スルタンはイスラエルを訪問したと見られている。その後、彼はヨーロッパの外交官をリヤドの自宅に招き、アメリカ政府がイランと話し合いをはじめ、シリアへの軍事侵攻を止めたことを非難、報復を口にしたという。勿論、イスラエルもアメリカ政府がイランと話し合うことに怒っている。

 バラク・オバマ政権がイランと話し合いを始めるひとつの要因は、シリア政府軍が化学兵器を使ったという嘘がばれたことにある。この年の8月21日にダマスカスの近くでサリンが使われたと西側の政府や有力メディアが叫び始め、NATO軍が直接介入する動きを見せたのだが、すぐ、この主張を否定する報告が相次いで攻撃は実現しなかった。

 まず、ロシアのビタリー・チュルキン国連大使はアメリカ側の主張を否定する情報を国連で示して報告書も提出、化学兵器をサウジアラビアを結びつける記事も書かれている。記者のひとりが記事を取り消そうとしたが、編集長が記者との遣り取りを詳しく説明、その証拠を提示する動きを見せると、記者は沈黙した。

 10月に入ると「ロシア外交筋」からの情報として、ゴータで化学兵器を使ったのはサウジアラビアがヨルダン経由で送り込んだ秘密工作チームだという話が流れた。アフガニスタンの反政府軍支配地域で「第三国」がアル・ヌスラなどシリアの反政府軍に対し、化学兵器の使い方を訓練しているとする報告があるとロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は語っている。

 シーモア・ハーシュもこの問題に関する記事を12月に発表、反政府軍はサリンの製造能力を持ち、実際に使った可能性があると主張、さらに国連の元兵器査察官のリチャード・ロイドとマサチューセッツ工科大学のセオドール・ポストル教授は、化学兵器をシリア政府軍が発射したとするアメリカ政府の主張を否定する報告書を公表している。ミサイルの性能を考えると、科学的に成り立たないという。

 そうした中、アメリカ政府はシリア近くの基地にB52爆撃機の2航空団を配備し、5隻の駆逐艦、1隻の揚陸艦、そして紅海にいる空母ニミッツと3隻の軍艦などの艦船を地中海に配備して攻撃する姿勢を見せ、対抗してロシア政府は「空母キラー」と呼ばれている巡洋艦のモスクワを中心に、フリゲート艦2隻、電子情報収集艦、揚陸艦5隻、コルベット艦2隻がシリアを守る形に配置したという。

 攻撃が予想されていた9月3日、地中海の中央から東へ向かって2発のミサイルが発射されたが、このミサイルをロシアの早期警戒システムがすぐに探知している。2発とも海中に落ち、その直後にイスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表しているが、ジャミングなど何らかの手段で落とされたのではないかと推測する人もいる。

 この9月に西側の首脳はヤルタで国際会議を開き、アメリカに従わないロシアの体制転覆について話し合ったと言われている。そして11月にウクライナのキエフで反政府活動が始まり、ソチでのオリンピック開催に合わせるかのように過激化していく。ネオ・ナチが前面に出てきて棍棒、ナイフ、チェーンなどを片手に持ちながら石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルを撃ち始め、そして狙撃が始まる。何度も書いているように、この狙撃はクーデター派が実行した可能性がきわめて高い。憲法の規定を無視してビクトル・ヤヌコビッチ大統領が解任されたのはオリンピック競技の最終日だった。

 このクーデターを現場で指揮していた人物がアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補。結婚相手はネオコンの大物、ロバート・ケーガンだ。ネオコン議員のジョン・マケインもウクライナに乗り込んで蜂起を扇動していた。

 その後、ISがイラクで勢力を拡大、シリアで体制転覆を目指して戦い始めた。歴史的にISはアメリカと深い関係にあるが、その関係が壊れたことを示す情報は見当たらない。ISのスポンサーとも見られているサウジアラビアでアブドラ国王が死亡、サルマン皇太子が新国王になるというが、アメリカやイスラエルとの友好的な関係、シリア、イラン、ロシアなどとの敵対的な関係に変化はないと見られている。





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最終更新日  2015.01.24 19:17:12



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