27423780 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2015.06.20
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 ギリシャは天然ガス用のパイプラインを建設するため、ロシアから融資を受けることになり、EUから離脱する可能性が強まったと見られている。IMF、欧州中央銀行、欧州委員会、いわゆるトロイカはギリシャに対して緊縮財政を強要する一方、借金を膨らませて事態を悪化させてきた。いわゆる闇金と同じ手口でギリシャを食い物にしてきたと言えるだろう。

 財政を破綻させたのは巨大金融機関とギリシャ国内の腐敗したエリート。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などを使い、国民に事態を隠しながら借金を急増させ、投機集団からカネを受け取る代償として公共部門の収入を差し出すということが行われていたという。借金漬けにした後、「格付け会社」がギリシャ国債の格付けを引き下げて混乱は始まる。

 こうした事情を隠すため、IMFは自分たちに都合の悪い事実を隠し、都合の良いストーリーを広めるためにギリシャのジャーナリストをワシントンDCで訓練してきたとIMFの元ギリシャ代表が証言している。日本の場合、「記者クラブ」という形で官僚や大企業にとって都合の良い話を「レクチャー」されている。アメリカ駐在の日本人記者に対しては、ギリシャ人ジャーナリストと同じことが行われているようだ。

 こうした情報操作が行われているが、ギリシャ国民は事情を理解、怒っている。そのひとつの結果として、今年1月25日に行われた総選挙で急進左翼進歩連合が圧勝した。「国境なき巨大資本」がギリシャの支配層と手を組んで作り上げた「危機」の尻ぬぐいを緊縮財政という形で押しつけられることを拒否したわけだ。

 ところが、これまで急進左翼進歩連合も西側支配層の善意を期待する姿勢を見せ、事態をさらに悪化させてしまう。西側支配層の代理人として働いているトロイカが「民意」に答えるはずはなく、緊縮財政で富を搾り取る一方、さらに借金させ、国の資産を私有化という形で盗むという流れが続いた。

 ロシアとのプロジェクトでパイプラインが完成したなら、エネルギー源を確保できるだけでなく大きな収入源を得ることになり、ギリシャの財政も好転する可能性が高い。西側支配層の意向で動いているトロイカにとっては悪夢だ。早く破綻させないと、地中海の東岸に眠っている天然ガスの開発で借金が返される可能性もある。

 ロシアがパイプラインの建設でギリシャと手を組もうとしている大きな理由は、アメリカやイスラエルの属国と化したウクライナの存在がある。これまでロシアからEUへ天然ガスを運ぶパイプラインはウクライナを通過していたのだが、昨年2月にアメリカがキエフでクーデターを成功させた後、新政権は天然ガスの輸送を妨害している。

 ロシアを孤立させ、経済的に締め上げようとしたわけで、ロシアとしてはウクライナを回避しなければならない。すでに黒海を横断、ブルガリア、セルビア、ハンガリー、スロベニアを経由してEUへ入るサウス・ストリームをロシアは計画していたのだが、これはアメリカがブルガリアに圧力をかけて妨害した。

 こうしたアメリカの経済的な攻撃に対し、ロシアは中国との関係を強化することで対抗する。その後、ロシアは中国と経済面だけでなく、軍事面でも緊密な関係を築き始めた。アメリカへ留学させた若手エリートを使って中国をコントロール、ロシアと分断し、個別撃破する予定だったのだろうが、その目論見は崩れたと言える。

 その一方、トルコを経由するパイプライン、トルコ・ストリームの建設をロシアは打ち出した。すでにブルー・ストリームが存在しているが、あらたなパイプラインの建設で輸送力を強化できる。

 トルコ・ストリームはギリシャ、マケドニア、セルビア、ハンガリー、オーストリア、イタリアへとつなげるのだろうと見られていた。5月9日から10日にかけてマケドニア北部クマノボではコソボ解放軍(KLA、あるいはUCKとも表記)の元メンバーを中心に編成された武装集団と警官隊との銃撃戦があり、武装集団14名と警官8名が死亡、30名が拘束されたというが、これはトルコ・ストリームを潰す工作の一環だったのだろう。マケドニア内務省によると、5月17日に反政府デモが計画され、その中に戦闘員を紛れ込ませて混乱させようとしていたという。クーデター計画だと言えるだろう。

 クーデター計画をマケドニア当局が察知したのは昨年9月頃だと言われ、今年1月にもクーデターが試みられ、失敗している。黒幕はアメリカのビクトリア・ヌランド次官補とマケドニア駐在のアメリカ大使で、NATOのジェンス・ストルテンベルグ事務局長も関与したと見られている。その背後には投機家のジョージ・ソロスもいる。こうしたことを考えると、これからもアメリカはギリシャとロシアのパイプライン建設計画を妨害することが予想でき、バルカンの不安定化を図る可能性が高い。

 ギリシャと同じように経済的な苦境に陥っているウクライナでは、良い条件を出したロシアとの話し合いを進めていたビクトル・ヤヌコビッチ大統領がネオ・ナチのクーデターで排除されている。黒幕はネオコン。経済的に破綻、返済の目処がたっていないにもかかわらず、西側は多額の資金を投入している。負担はEUの庶民。例によって支配層はウクライナの資産を盗むつもりだ。アメリカはギリシャを食い物にするため、クーデターを目論むかもしれない。

 ギリシャにはクーデターの過去がある。1967年に内務大臣だったディミトリオス・イオアニデス准将が実権を握ったクーデターにはLOKという特殊部隊が関与していたが、これは「NATOの秘密部隊」に属していた。つまりイタリアのグラディオと結びつき、その背後にはCIAが存在していた。このネットワークは今でも生きていると信じられている。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.06.21 02:26:14



© Rakuten Group, Inc.