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《櫻井ジャーナル》

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2015.08.26
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 中国の天津にある工場で爆発があり、多くの死傷者が出たようだが、その爆発が通常では考えられないほど大きなものだったことから、小型の戦術核兵器が使われたという説が流れ始めた。爆発の後にクレーターができていることも核兵器説の根拠になっている。

 爆発は現地時間で23時34分06秒と23時34分36秒の2度あり、衝撃波が届いた範囲は最初が半径3キロメートル、2度目が半径10キロメートルだったとされている。また、焼失した面積は2万平方メートルに及び、半径5キロ以内の住民は避難したようだ。

Tianjin-2

 イエメンでも使われた可能性があることは本ブログでも紹介した。この場合、CCDカメラに画素が輝く現象(シンチレーション)があり、ほかの事実と合わせると核兵器が使われたと推測できるということだった。2013年5月や14年12月にシリアでも同じような爆発があり、これもそうだろと言われている。天津での爆発でシンチレーションは確認されていないが、その他の状況証拠は核爆発を疑わせる。

 2003年にアメリカがイギリスなどを率いてイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を倒した。その後、ファルージャでは住民の間で放射能による障害が多発、劣化ウラン弾によるものだとされているが、調査の過程で濃縮ウランが発見され、これまで知られていないような兵器が使われていた可能性が出てきた。ウルスター大学のクリストファー・バスビー教授によると、2006年7月にイスラエル軍がレバノンに軍事侵攻した後、レバノンやガザでも濃縮ウランが検出されたほか、アフガニスタンでも同じ兵器が使われ、バルカン半島でも使用された可能性があるようだ。

 ソ連消滅直後の1992年初頭にアメリカ国防総省で作成されたDPGの草案では、ソ連というライバルが消滅したことを受け、潜在的なライバルを潰すという方針を示している。つまり西ヨーロッパ、旧ソ連圏、東アジア、ライバルを生む出すのに十分な資源を抱える西南アジアが自立することは許さないということ。

 この草案が作成された当時の国防長官はリチャード・チェイニー、執筆はポール・ウォルフォウィッツ国防次官が中心だった。そこで、このDPGは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。国防総省のシンクタンクONA(ネット評価室)で室長を務め、「ヨーダ」とも呼ばれていた親イスラエル派のアンドリュー・マーシャルが助言していた。

 このDPGが作成された頃、ロシアのボリス・エリツィン大統領は西側の傀儡で、ロシアはアメリカの属国。そこで中国を最も警戒する国だと考えるようになり、マーシャルは中国脅威論を叫んでいた。ジョージ・W・ブッシュも大統領に就任した直後、中国脅威論を展開している。

 ところが、その後、ウラジミル・プーチンがロシアを再独立化、中国と手を組んでドルを中心とする経済システムを脅かす存在になってきた。ドルが基軸通貨の地位から陥落すれば、アメリカを中心とする支配システムは崩壊する。

 アメリカの好戦派、つまりネオコン/シオニスト、戦争ビジネス、人道的軍事介入派、ズビグネフ・ブレジンスキー系の嫌ソ/嫌露派は力尽くでロシアや中国をねじ伏せようとしている。現在、シリアやウクライナで戦争になっているが、好戦派が東アジアへ戦火を拡大させても不思議ではない。

 2006年にキール・リーバーとダリル・プレスは、ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できるとする論文をフォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)に書いているが、アメリカの好戦派はそう考えていたのだろう。

 その2年後、ジョージア(グルジア)の大統領だったミヘイル・サーカシビリは南オセチアを奇襲攻撃させる。当時、ジョージアはイスラエルとアメリカから武器を提供され、兵士は訓練を受けていた。イスラエルやアメリカの強い影響下にあったサーカシビリが独断で軍事作戦を行うとは考えられず、作戦はイスラエルが練った推測する人もいるのだが、ロシア軍の反撃でグルジア軍は惨敗してしまった。

 フォーリン・アフェアー誌にリーバーとプレスの論文が出る前年、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュはニューヨーカー誌で、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの「三国同盟」がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始した書いている。

 その前年、イラクで活動していたアル・カイダ系武装集団のAQIが中心になってISIが編成され、今ではIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ダーイシュなどとも表記する)と呼ばれている。

 1992年以降、アメリカの好戦派は世界制覇プロジェクトを開始、つまり戦争を始めている。当初の計画では潜在的ライバルを叩き、エネルギー資源などを支配するだけのつもりだったのだろうが、ロシアが再独立、中国も思い通りにならず、両国を中心にBRICSやSCOといったグループが作られてきた。ウォルフォウィッツ・ドクトリンを生み出し、世界制覇を狙っている勢力はロシアと中国を必死に倒そうとしている。アメリカが両国に経済力で勝つことは困難であり、別の手段を講じなければならない。






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最終更新日  2015.08.27 03:30:44



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