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一昨日、YCAMで映画『軽蔑』を観ようかと思ったら、『エクレール お菓子放浪記』が、一日のみ上映されると知りまして、2本を梯子することにしました。
震災前の石巻でロケしたということで、話題にもなったようですが、戦中から戦後にかけての混乱期の東京を舞台に、孤児院を出て力強く生き抜く男の子の話。 うちの施設の子どもらも、戦中戦後にかけては、周囲からの視線が随分大変だったろうと思わざるを得ない描写が、多々ありました。 心に残る少年の歌声は、数年前、やはり孤児院を題材にしたフランス映画『コーラス』と重なるところも多し。 水戸黄門のように、予定調和に向かう展開ということで、終盤は筋書きが読めてしまうのですが、歌声が涙を誘います。 次に観た、目を覆いたくなるような暴力シーンなどが多用される中上健次原作の小説を映画化した『軽蔑』とは、全く対照的な印象。 破綻に向かってひた走る展開に、どうにもならない渇きを覚えます。 因みにこちらも、先日の大水害で被災地となった新宮や、熊野川がロケ地で、自分にとっては良く知った場所ばかり。 酒造会社でのアルバイトシーンは、やはり遊び人となって博打と暴力と性によるエネルギーが赴くままに疾駆しつつも、真っ直ぐな気持ちを隠し持っていた地元の同級生と、染まらずも多くの時間を共に過ごしていた頃が懐かしくもありました。 ちょうど、隣接施設から、太平洋戦争後の混乱期、社会福祉法人以前、財団法人の認可を得るにあたっての資料が出て参りましたので、付すことに。 近頃、読売新聞に、先般亡くなった「はごろもフーズ」の創始者が、戦後すぐの頃、弊寺に下宿したことが記載されたようですが、その時の住職によるものです。 設立の主旨と教養の方針 院長 中村泰祐 子女の育成上最も大切な存在は父であり母であることは云ふ迄もありませぬ。その母その父を失った子供達程世に可憐なものはないです。我が山口○○院は、明治三十七年時恰も日露開戦の当初に際し、前洞春寺住職荒川道隆が、この國を賭しての大戦では、思ふに多くの戦災孤児が生じ、戦後にいたましい事態の発生を考え、是等恵まれぬ児童達の為に、父母に代って慈育し、将来明るい自活の道を得させることこそ、佛陀の慈悲を自らの生命とする、宗教家佛教僧侶の使命でなければならないと自覚の下に、洞○寺境内に創設開院したのが、本院設立の主旨であります。 こと耳あたらしく申す迄もなく親の子に対する愛は無限の大用であります。無限の愛は、真善美の窮極たる慈悲心の顕現であり、あらゆるものを超越した境致であります。佛陀の一切衆生は悉く我が子なりの金口の直説そのものであります。前院長荒川道隆が、佛陀の慈悲を体として創設しました教養の方針を、不肖中村泰祐も緯とし経としまして、院児の教養にあたり、関係職員一同も亦此心を堅持して、心の錬磨にいそしみ努めつつ、佛陀が示し給へる四恩を教養の基調とし、羅針盤とし、児童の育成に最大の努力を払っております。 今次の悲惨な戦災によって生じた戦災孤児及び犠牲者の遺孤児たち、この恵まれぬ児童を、終戦後虚ろになった人心、廃頽した道義の彌漫した社会では、顧みる人達も多くはありませぬ。我達は共同の責任に於て、これ等不幸の児童を教護育成して、再建日本の立派な国民として成長させねばならないと信じまして、高い理念と教養を持たれる緒彦に、本院の主旨と方針をお告げ致します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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