【未完成のノートと消しゴム】の時雨さんから、銀さん誕生日SSを頂きました!☆(≧▽≦)☆!
※「吉田松陽の塾生徒観察日記」のその後。先生が天国から遊びに来た感じ、とのことです♪
【誕生日の鉄則も知らねェ奴が誕生日会開けると思うなよ!】とリンクしてるので、併せてお読みください!☆(≧▽≦)☆!
十月十日
銀時には誕生日がない。正確にいえば分からない。
だから今日を銀時の誕生日にしようと思う。
今頃小太郎や晋助がせっせと準備をしていることだろう。
銀時の驚いた顔を見るのが楽しみだ。
昔書いていたその書を読み、私は考えた。
今の彼はどうしているだろう。
考えた。たくさんたくさん考えた。
そして答えが出た。
幽霊になってあの子に会いに行けばいい。
【吉田松陽の塾生徒観察日記 その後】
銀時の家に着いた。どうやら現在の彼は『万事屋』というものを経営しているらしい。文字通り何でも屋なのだろうか。
中に入りまず最初に思ったのは部屋が綺麗だということ。とてもあの子の家だとは思えない。やはり大人になると色々なことが変わるのだろうか。
私は銀時が帰ってくるまで何をしようかと迷う。
部屋の中をぐるぐると歩きまわってみるが何をすればいいか分からない。
私は特に何も考えず押入れを開けてみた。蒲団が入っているくらいだろう。
が、予想は外れた。
「おや」
押入れの中は一種の部屋のようになっていて、『ピン子』という文字が書かれた紙が額に入れて飾ってある。例えるならドラえ●んのような感じだ。何で小説に伏字が出てくるのかって?それは私にではなく作者の方へお願いします。
そして目線を移し、新たな発見。
「・・・!」
女物の・・・下着?
・・・銀時の物、なわけはない。ということは・・・。
脳裏を過った想像は、銀時らしいといえば銀時らしいものだった。が、すぐに考え直す。
いやいやいやいや、ないないないない。ちょっと待て。落ち着かなくては。ここは銀時の家。うん、間違いない。あの子が結婚するなんてことは無い。断言できる。じゃあ恋仲の人の物?銀時に?でもあの子なら爛れた恋愛もしかねない。というかもう五、六回していそうだ。っていうかこんなに自分の弟子を疑って良いのか、私。
結局動揺を隠しきれなくなり、勢いよく押入れを閉めた。
まだ帰ってこない。もう何十分経ったのだろう。
もう戻ろうか。そう思った頃。
「あ」
がらりと戸の開く音が玄関から聞こえてきた。
やっと帰ってきたのか。
緊張と好奇心とが混ざりあった複雑な気持ちになる。
そして居間の戸が開いた。
「ふぁ・・・眠ィ」
私が待っていた人物は部屋に入るなり、だるそうに伸びをした。
ああ、変わっていない。あのころの面影が今もそこにある。
妙に懐かしむ気持ちになった。
横長の椅子に座り、背を預ける銀時。私も向かいの横長の椅子に座ることにした。
銀時に私は見えない。でも向かい合っている形なので私は急に話をしたくなった。
意味など何もないのに。
そんな思いが止めるのも聞かずに口が開く。
私はこんなにも精神が弱かったのか。
「銀時」
反応なし。当たり前か。
構わず私は続ける。
「やっぱり貴方は変わりませんね。甘いものが好きなところも。死んだ魚のような眼をしているところも」
でも違う。全く変わっていないわけじゃない。
そんなことは分かっている。
己の中に生まれる矛盾の考え。
私が死んだ後、苦しいや辛いでは表現しきれないほどの事があったのだろう。
だってその眼には悲しく映っているものがある。
修羅と血の紅い記憶。
変に心苦しい気持ちになる。
しかし、それは銀時の言葉によって遮られた。
「ったくよぉ、今回はオフで吉原に行ったってのに。結局仕事押し付けられるわこんな大怪我負うわ、散々だな」
吉原・・・遊郭のことか。やはり爛れた恋愛でもしているのだろうか。いや、きっと依頼か何かがあったのだろう。そう思っておこう。
銀時はそれに、と続ける。
「あの人のことも思い出しちまうしよ」
あの人?あの人とは誰だろう。
いつもは自由なその眼に、哀愁を映させるほどの人とは一体・・・―――――――
「・・・先生よォ」
「!」
体が固まる。
私を、思い出した。
嬉しいのか、はたまた悲しいのか。今日はこんな思いばかりする。
そして待つ暇もなく銀時は言った。
「もうさ、ホントにろくなこと思い出さねェよ。人が大福食べてるとこ見て悶絶するなんざ、ただの変態じゃねェか」
「・・・・・・」
ぷつん。
心の中で何かが切れる音がした。
私は咳払いをする。同時に銀時も足を組み替えた。
「銀時だって随分な変人じゃないですか。甘いものばかり食べていたら、そのうち虫歯になりますよ」
「そういえばあの人に連れられて初めて歯医者に行ったんだよな。診察室から泣いて出てきた俺の事慰めてくれたんだっけ。いや、でもあれは内心ゲラゲラ笑ってたよ。何気にSだもん、あの人」
「いつだったか貴方に団子を盗み食いされたことがありましたね。つい勘違いと言っていましたが、あの後何回勘違いがあったと思っているんですか」
「先生もさ、俺に黙って団子食おうとするんだもんなぁ。だから俺が盗み食いしてやったんだっけ。ざまぁねえな」
「初めて貴方と手合わせした時はあまりに弱くて笑ってしまいましたよ。あれで鬼だなんてばかばかしい」
「散々塾生どもに慕われてるくせに弱かったよなァ、あの人。あれさ、俺手加減してやったんだよ。銀さん優しいから。大人に花を持たせてやるのが、最近の粋なヤングだから」
「確か幽霊も嫌いなんでしたっけ。普段はツンケンしている癖に、中身は本当に子供でしたね」
「怪談話した時勘違いしてたな、先生。俺が怖いって泣いてると思ってたんだぜ。あれは企画に乗ってやってただけだからね。空気読んでやっただけだから。本当は怖くとも何ともないから」
「思えば昔から泣き虫でしたね。夜中、私にすがりついてきたこともあります。今でもそうなのでしょうか」
「とりあえず今の銀さん強ェから。幽霊とかで泣いたりしねェから。夜中起きて泣いたりしねェから。だから」
「だから安心しとけ」
おかしいな。私の声なんて聞こえるはずがないのに。
私に向けられる言葉なんてあるはずがないのに。
少し変わったのは、貴方が以前よりも誰かを思うようになったということ。
誰かを泣かせたくないと思うようになったということ。
誰かを守りたいと思うようになったということ。
誰かと笑っていたいと思うようになったこと。
静寂。
しかし気まずいものではない。
例えるなら遥か昔、同じ木の下で肩を預けあい眠りについたときのような感覚。
銀時の方はというと。瞼をおろし、静かに笑みを浮かべていた。
その静寂を破ったのは元気な子供の声。
「銀ちゃん、ただいまヨ!」
「包帯買ってきましたよ。後桂さんも連れてきました」
「具合はどうだ、銀時」
居間に入ってきたのは、オレンジ色の髪をした可愛らしい女の子。
眼鏡をかけた心優しそうな男の子。
そしてかつての塾生徒。
「小太郎」
さっきまであんなに銀時と話したのだ。どうせならと小太郎の名前を呼ぶ。
返事はもちろん返ってこない。
「桂さん、今お茶持ってきますね。あ、銀さんは苺牛乳で良いですか?」
「おー」
「すまないな」
「新八ィ、酢昆布も持ってくるヨロシ」
「自分で取りに来てよ。怪我もしてないし、お客さんでもないんだから」
「ちっ、気の利かねェ男アルな。そんなんだから彼女が出来ないネ」
「人が気にしてること一々突っ込まなくていいから。ほら早く来て、神楽ちゃん」
ぶつぶつ言いながらも、新八という男の子についていく神楽という名の女の子。
居間には私と銀時と小太郎が残った。銀時の隣に腰かける小太郎。
「また無茶をしたようだな」
「あ?別に無茶なんかじゃねェよ」
「そうか。その傷で無茶ではないというのか。ならば銀時、今すぐ俺と共に攘夷を!!」
「いや何でそうなんだよ!お前いろんなものすっ飛ばしすぎ!」
「安心しろ。今我らの仲間になればなんと!エリザベスのプチ人形がついてくるぞ!」
「いらねェよ。何その神剣ゼミみたいな付録。付録目当てで入会した子供はなァ、どうせ一カ月と持たねェんだよ!」
「ふふっ」
つい口から洩れてしまう笑い。
相変わらずだ、二人とも。まだ仲が良いようで安心した。
私は椅子から立ち上がる。と、窓側の机の上に置いてある写真に眼がいった。
そこに写っているのは銀時を中心に新八君たちが集まっている写真だ。
いや、その三人だけではない。銀時の周りにはたくさんの人がいる。
私は安堵のため息をついた。
本当に安心した。
今のこの子たちには大切なものがちゃんとあるようだ。
銀時にも家族のような人たちが表れたのだ。
小太郎にも素直に笑える場所が出来たのだ。
師として。家族として。これほど嬉しいことはない。
もう一度、銀時たちの方へ微笑みかける。
そして消える直前、彼の日のように私は言った。
「誕生日おめでとう」
(了)
うわぁ、松陽先生、ひでぇ(笑)っていうのが、正直な感想でした。すみません~~
いやでも、なんでこうも、あっち方面(どっち方面?)に信用がないのか。ハッΣ(゚ロ゚〃)、桂さん、高杉さん、松陽先生、まとめて性別間違えたせい?←ありえそう、ありえそう。
これも銀さんの日頃の行いの悪さ……ゲフンゲフン、人徳ってやつですね。うんうん。納得。納得。(ぇー
└|・_└|ソノハナシハ |┘_・|┘コッチニオイトイテ
ありえないことは分かっていても、こうあって欲しいなっていう優しい感じのSSでした♪
………それにしても、原作で早く松陽先生の性格を固めてもらわないと、時雨さんの松陽先生の印象強すぎて、松陽先生のイメージが
ソフトS!( ̄□ ̄;)!! (←どんなんや)
└|・_└|ソノハナシハ |┘_・|┘コッチニオイトイテ
時雨さん、ありがとうございました!☆(≧▽≦)☆!
そうそう、自粛なんて単語は、時雨さんには似合わないと思います!いや、マジでマジで♪