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2010年08月22日
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テーマ:銀魂(1187)



今日は、最新のシリーズで大変な目にあってる全蔵さんの誕生日!

ぽっぽさんに頂いた誕生日SSのお披露目です♪♪♪







【袖すり合うも他生の縁】


街を歩いていたら車椅子を見つけた。
鮮やかな今風の着物に、小奇麗にまとめあげた黒髪の女が
店と店の間を子どもに背もたれを押されて、ゆっくりと進んでいる。
女は膝の上に手提げ袋を乗っけていて、それの中からは長い葱が顔を覗かせている。
「よぉ、お2人さん」
全蔵は後ろから声をかけた。
子どもが振り返り、驚いた顔をして前の女の方をバンバンと叩く。
「母ちゃん、母ちゃん!! 見て!!」
「アンタがどいてくれないと見えないんだけどね」
女がそう言うと、少年は少し脇にずれる。
その向こうから器用に車椅子を回転させて振り向いた顔は
以前にも増して美しくなっているようだった。
丈の長い羽織に足袋といういでたちの、顔が前髪で半分隠れた男の姿が女に目に映る。
「あら」
女はそう言って、子どもと同じように驚いた表情を見せたが、
すぐにそれは微笑みへと変わった。
「奇遇だね。お仕事かい?」
「いいや買い物だよ。オタクらと同じさ」
全蔵は答える。
それからただ何となく2人の行く先へと歩を合わせ、ぶらり夕暮れの街を歩く。
子どもはどういう訳か全蔵によく懐いて、肩車をしながら女の車椅子を押した。
代わりと言っては何だが、女が全蔵の持っていた荷物を膝に抱えてくれた。


「本当はもう店じまいだけど、サービスしてあげる」
二人の営む茶屋に着くと、女はそう言って奥から茶菓子を出してくれた。
三人の間で話に花が咲く。
再会するのは今回が初めてで、初対面の際にも共に過ごしたのはほんの数日。
その後特に連絡を取り合っていたわけでも無く。
だが、不思議と話題が尽きない。
特別多く話しているわけでもないが、話が途切れることも無い。
子供が全蔵の忍び道具で遊びたがるので少しだけ貸してやると、
子どもは目を輝かせながら、クナイや手裏剣を眺め遊ぶ。
「クナイなら月詠も持ってるのにねぇ」
そんな少年の様子を見て、女は嬉しそうに笑っている。

全蔵は何杯目かの茶を啜り、それを置くとふぅ、と息をついた。
「元気かい、アイツは」
「え?」
「その月詠さんだよ」
全蔵が言う。
まぁあの様子なら大丈夫とは思うがね、と全蔵は考える。
そんな感情が口調に表れていたのか分からないが、女はにこやかに答える。
「あぁ、元気だよ」
「そりゃ良かった」
全蔵も微笑んだ。
別段心配していた訳でも無いし、思い出すことすらも余り無かったが、
こういう言葉を直接聞くことが出来ると、やはり安心する。


空を真っ赤に染めていた夕暮れはいつのまにか薄暗くなって、夜の訪れを告げようとしている。
共に吹く風は真夏にしては少し肌寒く、少年は大きなくしゃみをする。
「あぁ、そういえば」
子どもの鼻を手ぬぐいでつまみながら、女が言葉を紡ぐ。
「お正月休みの頃は落ち込んでたわね」
「そりゃまた随分と昔の話だなぁ」
全蔵が聞き返すと女は子どもの顔から手を離して
全蔵の方に向き直り、くすりと笑って答える。
「ほら、銀さんが結婚したって年賀状が来てたでしょう?」
全蔵は長い前髪の下で、目をパチパチと何度か見開いた。
「うん。元気無かったよね」
少年が鼻を啜りながら付け加える。
「…まさかとは思うが、知らねーの?」
「偽造だったって事? 今はもう知ってるわよ」
全蔵は大きく口を開けて笑った。
女も同じく、楽しそうに肩を震わせているのを見て、
子供はよく分からないまま、つられて笑ってしまった。
こんな所で噂されているとも知らずに、
今頃どこかでクシャミをしている女が二人いることだろう。


「あの娘の恋に協力してくれたら、前よりもっとサービスするけど?」
女は悪戯っぽい愛らしい目で、全蔵に言う。
やはり美人だな、と全蔵はしみじみ思う。
コブ付きですら無かったなら、今頃男共が群がって仕方無いだろうに。
「嬉しい話だが、そいつぁ無理だな」
全蔵は女に微笑み返す。
女はさっきよりも若干冷たい態度で、全蔵の湯のみに茶を足す。
「あんなんでも同胞でね。悪いが俺の情は月詠さんよりアイツに厚い。
どうしてもそっちを応援してやりたくなっちまうのさ。まぁ無理そうだけどな」
女は溜息を付き、恨めしそうに上目遣いで全蔵を見上げる。
子どもは話の流れがよく分かっていないのか、
キョトンとした顔で全蔵の隣に座り、残った茶菓子を摘んでいる。
「そんな顔しても無駄さ。俺の好みは醜女だよ、忘れたかい?」
全蔵の隣の美人は諦めたのか、子どもと同じように茶菓子の余りを口に運ぶ。
日はすっかり暮れて、空には薄い雲がかかっている。
夜の街特有の光が徐々に溢れ始めて、空から落ちる月明かりを掻き消してしまう。

「じゃ、そろそろ退散するとしますかね」
全蔵はそう言って、残った茶を全て飲み干した。
立ち上がって服の皺を直し、忍び道具を元通りしまう。
手を後ろに組んで軽く背を伸ばして見れば、
子どもは先程の場所から消えていて、代わりに店の奥から走って出てくるのが見えた。
子どもは持って来た風呂敷包みを母親に渡すと、それはそのまま全蔵に差し出される。
「いつでも遊びにおいで」
女が言った。子どもも隣で期待を込めた目で全蔵を見ている。
全蔵には何だかとても不思議な気持ちだったが、
悪いものでもないと思った。
「じゃぁ今度はもう一人連れてくるかね。丁度晴太と同じくらいの年のやつがいてね」
「おや、子どもがいたなんて初耳だね」
「バカ言いなさんな。ま、その辺の話も次回のお楽しみだ」
全蔵は女にそう言うと肩に風呂敷包みを担ぎ、
トン、と地面を軽く蹴って向かいの屋根に飛び乗る。
屋根の上に上がった瞬間光が届かなくなって、突然姿が消えたように見えた。
「そっちは暗いよ全蔵さん!!」
微かに見て取れる人らしき影に向かって子どもが叫ぶと、
軽い雰囲気の、低くて良い声が返ってくる。
「猫は夜目がきくのさ」





【完】





なんとなく、全蔵さんがボラギノールな目(どんなんや)にあうお話かと思いきや、すげえ

ほのぼの!☆(≧▽≦)☆!


以下、ぽっぽさんの後書き+αです♪

「日輪さんは吉原一の花魁だったワケだし、
女の武器は結構使うんじゃないかと思った次第であります笑
蜘蛛編の全蔵さんと日輪さんの関係が凄く好きだなぁと思っていたらこんな物ができました笑
あの後友達みたいな関係になってたらいいのになーと思ってます♪
全蔵さんは絶対子どもに好かれる人だと思うんですよ。面倒見良さそうだし。
幼稚園の先生とか凄く似合うと思うんですがどうでしょ?


ラストのは阿国ちゃんのコトです。
漫画届けるだけじゃなくて、時々内緒で外に遊びに連れ出してあげてたりしたらいいな~って凄く思います♪
全蔵さんと阿国ちゃんの話が相当お気に入りなんですよ私笑」


「幼稚園の先生とか凄く似合う」ってところで、うっかり、仔攘夷の3人にぐちゃぐちゃにされてる全蔵先生なんてのを想像しちゃいました(笑)

確かに、なんだかんだいって全蔵さんって面倒見すげぇいいですよね。l-_-l_ _l-_-l_ _l ウンウン
ぽっぽさんの書く全蔵さんがかっこよすぎてきゅんきゅんしました♪

ぽっぽさん、ありがとうございました!☆(≧▽≦)☆!


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最終更新日  2010年08月22日 15時47分20秒
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