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2011年05月29日
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テーマ:銀魂(1187)

※銀魂 二次創作。
【5月26日】 2 -ミツバさん編ー (中)の続きです。


【5月26日   2 ミツバさん編】


近藤さんの言葉で笑いながら顔を上げて、ふと庭を見た。
庭木の陰の中を、陰よりもっと黒い影がゆらりと立っているのが見えた。影は段々と揺れるようにゆっくりこちらへと近づいて、こちらを見ていなかった。
いつもの黒い着流し、結い上げた長い髪が尻尾のように風に揺れていた。
ちらりとこちらに向いた目と、目があったことに気がついて、わたしは下を向いてそーちゃんを見た。頬が内側から熱くなって、ぎゅうっと握った拳が汗をかいている。近藤さん、気がついたかしら。

「遅かったな、トシ」
「近藤さん、遅く来いって言ったろ」
面倒くさそうに答えて、そーちゃんに近づいた。口が面白くないようにぐっとへの字に曲げて、眉間に皺がよっていた。近藤さんが、呼んでくれたから来てくれたのだろう。本当は来たくなかったのにという風に見えて、申し訳ない気分でいっぱいになる。
「なんだ、やけに静かだと思ったら寝てんのか」
ひょいとそーちゃんの顔を覗きこんだ。急に顔が近くにあって、心臓がドキドキする。
「はしゃぎすぎたんだろうなあ。さっきまでは起きてたんだがな」近藤さんはのんびりと言った。
「こうしてみると、こいつも普通のガキにしかみえねえな」
「剣をもたせると誰もが驚くほどの使い手になるのになあ」
「使い手っていうよりも、ただの悪ガキだろ」
「お二人といると、そーちゃんとっても楽しそうだから、わたしうれしいんです」道場で二人といるときのそーちゃんは年相応の無邪気な子供にみえて、それを見ていられるのが幸せだった。幸せそうにまだ眠ってるそーちゃんの汗ばんだ額にかかった前髪をなでた。
「そーかよ」ぼそりと呟いた言葉は、優しかった。

「さあ、俺はそろそろ道場に戻るか」近藤さんはまだ日も傾いていないのに席を立った。
「じゃあ、俺も」
「トシ、まだお前はゆっくりしていけ。ミツバ殿の手料理をちゃんとご馳走になったほうがいいと思うぞ、総悟も言っていたが絶品だぞ」近藤さんに無理に腰をかけされられると、眉間に皺がまたよった。
「じゃあ、ミツバ殿。呼んでくれてありがとう。本日は本当に楽しかった」
そーちゃんの手を放そうとしたのだけれど、袂を固く握ったまま放してくれなかった。
「私こそ、本当にありがとうございました。近藤さん、傘大切にしますね」わたしはそのままの姿勢で頭を下げた。
「うむ。次は総悟の誕生日だな、もしよければうちの道場でやっても構わないだろうか」
「ありがとうございます、近藤さん」急いで近藤さんに頭をさげた。「よかったわね、そーちゃん」そーちゃんが聞いたらどんなに喜ぶだろう。
近藤さんは立ち上がれないわたしにそのままでいるように言うと、笑顔でその場を辞した。


近藤さんがいなくなると、静かになった。
縁側に腰をかけているけれど、それ以上は上がってこようともせずそっぽを向いている。横顔を見つめているのも恥ずかしくて、わたしはそーちゃんの顔を見ていた。
「あの、来て頂いて」
「近藤さんが、来いって言ったからな」
わたしの言葉をさえぎるようにぽつりと呟いて、わたしはお礼も言えなかった。
何も言葉にできずに黙っていると、こちらをちらりと見る気配がした。
「何か召し上がりますか?」精一杯の勇気を出してみたけど、またそっぽを向いてしまう。
「いや、いらねえ」
「あの、そーちゃんがいつもいたずらばかりしていて、ごめんなさい」わたしが頭を下げるとちょっと驚いたみたいだ。
「あ、あんたが気にすることじゃねえ。ガキのすることだって、分かってる」そーちゃんの描いた落書きを見てほんの少し笑っていた。

「昨日も、なにかそーちゃんがいたずらしましたか?」
「まあな」
「なんだか、帰ったら得意気だったから」
「いつものことだろ」
むすっとした顔で呟いているところをみると、そーちゃんは大きないたずらをしたみたいだ。
「いつも言って聞かせてるんですけど」
「人の言うことを素直に聞くようなタマじゃねーだろ、あんたの弟は」
「ふふっ。そうね」思わずわたしは笑ってしまった。くすくすと笑い続けるわたしの顔をちょっとびっくりしたように見ている目と、目があった。途端に顔を背けてしまって、黒い髪しか見えなくなった。
「そーちゃん、いつも帰ると道場で何があったか教えてくれて」
「そーかよ」面倒くさそうだがわたしの話を聞いてくれているようだ。
「お二人と道場で稽古するのが楽しいみたいなんです」
「ふーん、稽古っていうよりもいたずらが楽しいんだろ」
本音が漏れた声が聞けて、わたしの顔はほころんだ。
「ふふっ、本当ですね。でも、わたしうれしいんです」
ちらっとこちらを見るのが分かったけど、わたしはそっちを見なかった。
「あら、同じ話ばかりしてますね、わたし」
「…ああ、うん。…気には、ならねえがな」頭をかくようにして、また向こうを向いてしまった。

「う、ううん」
そーちゃんがなにかむにゃむにゃと呟きながら、わたしの方へごろりと寝返りをうった。
さあっと、さっき姿を現した木陰のほうから涼しい風が吹いてきて、黒い髪が揺れて後ろへなびいた。そーちゃんにかけていた布団の端が、ぱたぱたとはためいて旗のようだった。

「ああ、これ」

懐からごそごそと何かを取り出して、横を向いたままわたしに渡した。
「まあ」
それはそーちゃんがくれたのと同じ激カラせんべいだった。
「来る途中に見かけた」そっけなく言うが、おせんべい屋さんは道場からの道筋にはないのを私は知っていた。わざわざ買ってきてくれたんだと思うと、余計にうれしかった。
「ありがとうございます」
こちらを一向に見ないままの黒い髪の毛へ頭を下げた。
「礼を、言うほどのもんじゃねえ。旨そうだから買っただけだ」
おせんべいをひとつ取り出して、ふと考えた。
「あの、辛いものは好きですか?」
「え?」
驚いて勢いよく振り向いた目と目が合った。わたしがせんべいを渡すと、びっくりしたまま受け取って困った顔をしている。
「辛いものお嫌いですか?」唐辛子をわたしみたいにはふりかけないのは知っていた。
「え、い、いや、まあ」いつもと違う困った顔を見るのは楽しかった。
わたしがぽりぽりとせんべいを口に入れると、考え込むように固まってしまった。そして、溜息をひとつついて、ためらいながら食べ始めた。なんだか涙目になりながらも一生懸命食べているから、わたしはそんな姿をもっと見ていたくなって、止めるのを止めてしまった。


「な、なあ」
何か言いたそうにしているので、涙を浮かべている顔を見た。
「てめー、なんでここにいるんだよ」
ぱちりと目を開けたそーちゃんはそう言うと、飛び掛った。
「な、なんだっていいだろ」そーちゃんの攻撃をひらりと交わし、驚いた顔でそーちゃんを見ていた。
「よくねえ!あ、それに何で俺が姉上にあげたものをお前が食べてんだよ」そーちゃんは手にしていた激カラせんべいを自分があげたものだと勘違いして、指差した。
「そ、そーちゃん」わたしは急いで誤解を解こうとした。

「な、何言ってんだ!これは、俺が」
そう言うと固まって、真っ赤になった。

「なんだよ」
そーちゃんは急に静かになった様子に納得がいかないようだった。
「そーちゃん、違うの、あのね」わたしはそーちゃんに説明しようと、そーちゃんの袂を引いた。
「いや、なんでもねえよ」
めんどくさそうな表情に戻って、髪をくしゃくしゃとかきあげて眉間に皺を寄せたいつもの顔に戻ってしまって、横を向いた。
そーちゃんはそんな様子を見ると、飛び掛って蹴飛ばそうと目論んだ。
「もう、そーちゃんってば」
そーちゃんは簡単に頭を抑えられてしまって、足が届かなかった。殴りかかろうとするのだが、手も届かないのでもっと腹が立ったようだった。頭を押さえた手に爪を立て、手を放した隙を狙って飛び掛る。結い上げた髪を引っ張って、襟首を掴まえられわき腹をくすぐられて手を放した。
二人が縁側で本気になってじゃれている姿が兄弟のように見えた。道場でいつも見ている光景が家でも見えることがうれしくて仕方なくて、わたしは笑ってしまった。

二人が、そーちゃんのそばにいてくれて本当によかった。三人でいる姿を見ていると、どんなときでも幸せな気分になれる。
誕生日に、三人の姿が、楽しそうなそーちゃんの姿が見れて本当によかった。
大好きな人たちとすごせて、よかった。


「姉上?」

くすくすと笑う私を見て、二人ともじゃれるのをやめたままの姿でわたしを見ている。
不思議そうな二人の顔を見て、そーちゃんの誕生日にはケーキを焼いてみようとわたしは思った。









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最終更新日  2011年05月29日 18時23分54秒
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