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カテゴリ:笑左衛門 残日録
笑左衛門残日録 84 己の葬式どうあるべきか ~散る桜 残る桜も 散る桜~ 良寛辞世の句 ~死に方迷い うろうろしてて 穴につまずく 冬の蠅~拙作都都逸 ~死んでしまえば 犬の糞より 始末の悪い へぼ人生~拙作都都逸 空でお道化てた奴凧が空っ風に煽られ地面にたたきつけられて ぺしゃんこになって泣いていた。 長生きしたいとも思わぬが、明日死んでもいいとも思わない、 食えなくなり、酒が飲めなくなればそれで終いだ。 某が死んだら、親族どもが寄り集まって相談し、 菩提寺に寺使いを使わせ葬式の日取りを決めると、棺屋から棺桶が届く。 やがて、聞き及んだ者、一人二人と集まり 沐浴させて、経かたびらを着せられ、桶(棺)に入れられ、 木綿の袋を桶に被せるのだ。 藁で龍頭を作り、紙の幡を作って野辺送りの支度をし、 隠居所から棺をかついで墓地まで列をなしていき、 墓掘人が掘った穴に亡骸を埋める。 盛られた土の上に戒名の書かれた墓標が風に晒されていることだろう。 葬儀が終えれば、親類や葬儀の手伝いを行った者には酒と飯の振る舞いがあり、 ~笑左衛門さんはいい人だった~ ~惜しい人を亡くした~ ~誰にでも優しかった~ などと、お世辞だらけの哀悼の意を示し、酒を呑むのだが、 行儀の悪い者は飲みすぎてくだをまく者もいるだろう。 さて、己の葬儀がそれでよいのかどうか? そもそも、死出の旅立ちの方法をまだ決めていないのである。 死んだら何が残るのか、死んだらどこへ行くのか、 坊さんは、死後の世界があるというが、いやなにもありゃあしない、 朽ちて虫に食われて消えてしまうだけだと信じている朋輩もいる。 いざ、死期が近づくと不安になるのだ、怖いのだ、 そこへつけこんで坊さんは供養だとか言いながら銭を貢がせるのだ。 死後にはなにもない、なにもないのだ、蛙や蟻が死ぬのと同じこと。 人間だけに天国や地獄があるはずもなく、もしあれば、 天国はもう人口過剰で溢れ、地獄へ突き落とされてしまうのだが、 その地獄も人で溢れかえっていて、落ちてゆくこともままんならぬ。 拙者はそう思うておる。 だから、死んだらば、葬式もいらない、墓もいらない、見送りもいらない、 坊主のお経もいらない、戒名もいらない、 汚らしい屍骸を野っ原に埋めてくれればそれでよし、 ~余を葬るに分を越ゆることなかれ、墓石を立てることなかれ~ 二宮金次郎様とおなじでよい。 没して100年も経ればそんな人がいたのかと、 この墓は誰のものだったのかと、 忘れられてしまうのが世の常である。 往生際の悪い奴よ!なにをくよくよざわめいておるのじゃ、 洒落た辞世の句など詠めそうにもないが、 残日録も名の通り、あと幾日書けるかと思うこの頃である。 笑左衛門
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最終更新日
2024年04月25日 10時30分09秒
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