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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2006年01月06日
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カテゴリ:アート
今年のアート見学は東博でスタート。「博物館に初もう
」としゃれたテーマの企画。いつもは駆け足で通り過
ぎるだけの本館常設展をゆっくりとまわる。

まず一階の仏像コーナー。昨年暮れから3月までの展示。
薬師寺の十一面観音の右足を一歩踏み出し、腰をくねら
せた身体の流麗さに見とれる。後ろの当麻寺の十一面観
音に比較してもお顔も小さく、とてもスマートだ。

今回展示の不動明王のこっけいな顔には笑ってしまうし、
奥の小振りな十二神将像の立体展示はみごと。三段の段
飾りにしてあって、戦闘集団だという感じがよく表れて
いて迫力充分。なお、2階にあった日光菩薩坐像。手先
も欠けていて、金箔の剥落も激しいが、切れ長の目元の
端正なお顔に引き込まれてしまう。法隆寺の国宝百済観
音が展示してあって、東京に来ているの?って驚いたが、
昭和初期に作られたレプリカ。でも痛み具合まで本物そ
っくり。一見の価値あり。

↓日光菩薩坐像
日光菩薩

漆工のコーナーでは、江戸時代までの蒔絵。磁器がチャ
イナというように、ヨーロッパで漆工芸をジャパンと呼
んだ時代があったのだそうだ。江戸時代の中山胡民とい
う人の作った虫かごの形をした金蒔絵の菓子箱が面白い。
かごの中の玉虫が螺鈿細工になっていて、きらきら光っ
て美しい。

次の部屋に進むと「欧州を魅了した漆器と磁器」という
特集展示。漆黒の漆に螺鈿で飾ったキリスト像のある書
見台とか、フリーメーソンの箱とか、花鳥風月を螺鈿で
細工してある裁縫台など豪華絢爛でまばゆい作品ばかり。
こんなものも作っていたのだなぁと当時の日本の技術の
高さに感心。

一階奥の特集陳列「江戸の見世物」は今月15日まで。
生人形という実物そっくりの人形。イギリスでいえば蝋
人形といったところだろうか。江戸時代のものはさすが
に残っていないが、明治末期に国際博覧会に出品した安
本亀八という人の作った人形が何点か残っている。首だ
けのものは本当にリアル。口の中の歯並びまで本物そっ
くり、気持ち悪いのだが見てみたくなる。今も各地で残
る菊人形もこんな見世物の一環だったのだなぁ。今も昔
も人の興味は変わらないものだ。

2階は、国宝室の長谷川等伯、松林図屏風が圧巻。濃い
松は、近くで見ると、何かで引っかいたよう。竹筆という
もので描いたとのこと。霧の中から現れては消え、また
現れては消える松の林と奥の山。桃山時代の豪華絢爛な
花鳥風月画と対極にあるわびさびの世界。近世水墨画の
最高傑作と言われているそうだ。

C0028016.X1.jpg


伊藤若冲の鶴の作品2点。片方はリアルで生々しい、言
い方を変えれば毒々しいぐらいの鶴。もう一方の松樹・
梅花・孤鶴図。これってマンガ!っていうくらいの
楽しい絵。ついていたキャプションには、ゲジゲジの
ような松、綿棒のような鶴とあったが、まさにその通り。
正月のお笑いにぴったり。

鶴

ここで、5時閉館時間。正面階段に正月飾りの立派な生
け花。残念ながら本館のみしか廻れなかったが、年の初
めにふさわしい展示を楽しんだ。

帰りに西洋美術館のライトアップされた前庭に寄った。
ロダンの地獄門。青銅色した昼間に比べ、夜はライトア
ップされて黄金色に輝いている。また、光による陰影も
深く現れて、地獄に落ちる男女の姿は迫力満点だ。





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最終更新日  2006年01月07日 08時50分32秒
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