カテゴリ:アート
昨年、美術ブログの中でかなり絶賛されていた展覧会。行こう かどうか迷いましたが、会期も終わりに近づいたので、えいや ぁっと出かけることにしました。タイトルも正月らしくていい ですし。一昨年は、ここで、やはりノーチェックの杉本博司展 にグサッときたので、今回もという期待がありました。 ヴィデオ・アート作品15本。 最初の「クロッシング」がいちばん面白かったです。一枚の画 面の両面に投影された一人の男。それぞれ後方から歩いてきて、 片方は火におおわれ焼失し、もう片方は頭上から滝のように落 ちてくる水にくるまれて、消失してしまいます。 上から落ちてくる水にのまれる男は、わずかに手を広げて、上 昇しているように感じました。イエスの昇天のように思えまし た。火にのまれる男は、火が下から上に向かっているので、逆 に男は落下しているように思えます。天国と地獄、善と悪など 相反するものを象徴しているように感じました。そして、それ らは実は表裏一体なんだよと訴えているかのようです。同時に、 それぞれの面のラストに水や火にくるまれるシーンはカタルシ スを感じることができました。 ザザッとした映像と大きな音でびっくり箱のように驚かされる 「ストッピング・マインド」や、いろいろな国籍の男女の集団 に、膨大な量の水が押し寄せ流されるという「ラフト/漂流」も 面白いものでした。 多くの人々が、こちらを見て、不快・憐憫・同情などの表情を しながら去っていく「オブザーヴァンス/見つめる」などは、見 ているはずの自分がいつか見られている存在になっていて、と てつもなく不安な気持ちになりました。そして、画面の人々の 感情を注意深く読みとろうと努力していることに気づきました。 日常的な人間関係の中でも、常に相手の気持ちを考える訓練を しなくてはならないと考えさせられました。 このように、面白いものもあったのですが、ほとんど動きがな く、「ナンだこれは!」と思えるもの、見るのに忍耐や苦痛を感 じる作品もいくつかありました。 最後の「ミレニアムの5天使」も確かに突然、大音響とともに 天使が出現するというのは、面白かったのですが、どうも天使 たちが土左衛門のように思えて仕方なかったです。 (展覧会は1月8日まで。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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