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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2007年02月20日
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カテゴリ:読書


写楽殺人事件、北斎殺人事件と読んで来て、主人公の浮世絵学
者津田良平と妻の冴子に愛着を持ってきたのにも関わらず、冒
頭から冴子の死という悲しい事件がおこるのでびっくり。続い
て津田も後を追うという切ない物語。

今回の殺人事件は、現代に起こる事件ではなく、天童で見つか
った広重の作品から、広重は実はコレラで死んだのではなく暗
殺されたのだという謎に迫っている。

やはり、広重が活躍した当時の政治状況から迫る広重像や、現
代の浮世絵をめぐる業者や研究者の問題、贋作問題などをから
めて、読み応えのある内容となっている。

特に参考になったのは、明治の赤絵についての論評。明治の浮
世絵がなんで、あんなに俗悪な赤を使ったのかという疑問に答
える内容であった。

江戸時代までは赤は金と並んで豪華な色であったとのこと。今
の日本人が金屏風を見て違和感を感じないように、明治になっ
て安い赤い絵の具が入ってきたため、赤が豪華な色ではなくな
ったとのこと。明治の人はあの赤絵を見て、金屏風のような豪
華さを感じたのだそうだ。

歌麿らの売れっ子浮世絵師にとっても版元から版画に赤の使用
を許されることをステータスシンボルとしていたそうだ。だか
ら明治の絵師にたちはその反動のように安い赤絵の具を多用し
たとのこと。

そうそう天童に広重の美術館があることを知り、さっそく
チェックした。





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最終更新日  2007年02月20日 23時59分26秒
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