カテゴリ:読書
写楽殺人事件、北斎殺人事件と読んで来て、主人公の浮世絵学 者津田良平と妻の冴子に愛着を持ってきたのにも関わらず、冒 頭から冴子の死という悲しい事件がおこるのでびっくり。続い て津田も後を追うという切ない物語。 今回の殺人事件は、現代に起こる事件ではなく、天童で見つか った広重の作品から、広重は実はコレラで死んだのではなく暗 殺されたのだという謎に迫っている。 やはり、広重が活躍した当時の政治状況から迫る広重像や、現 代の浮世絵をめぐる業者や研究者の問題、贋作問題などをから めて、読み応えのある内容となっている。 特に参考になったのは、明治の赤絵についての論評。明治の浮 世絵がなんで、あんなに俗悪な赤を使ったのかという疑問に答 える内容であった。 江戸時代までは赤は金と並んで豪華な色であったとのこと。今 の日本人が金屏風を見て違和感を感じないように、明治になっ て安い赤い絵の具が入ってきたため、赤が豪華な色ではなくな ったとのこと。明治の人はあの赤絵を見て、金屏風のような豪 華さを感じたのだそうだ。 歌麿らの売れっ子浮世絵師にとっても版元から版画に赤の使用 を許されることをステータスシンボルとしていたそうだ。だか ら明治の絵師にたちはその反動のように安い赤絵の具を多用し たとのこと。 そうそう天童に広重の美術館があることを知り、さっそく チェックした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年02月20日 23時59分26秒
コメント(0) | コメントを書く |