カテゴリ:アート
いい展覧会だった。「フランス~」に比べると「ロシア~」は
ずっとマイナーで、パスしてもいいかと思っていたく らいだったのだが、見て大正解。見なきゃ大損だった ろう。 なぜ「青春の」というタイトルがついているのかは、 ロシアの美術史に詳しくないので分からないのだが、 ロシア革命前後のエネルギッシュなアートシーンを指 しているのかもしれない。 とにかく、この展覧会の作品すべて、非常に色彩が豊 かなのだ。鮮やかな色彩に心が弾むと同時にどこか懐 かしい雰囲気の絵が並ぶ。そのノスタルジーが「青春」 なのかとふと思う。 名前を知っている画家はシャガールやピロスマニくら いなのだが、このふたりの作品はいちだんと素晴らし い。特にピロスマニの絵を観ることができたのがいち ばんの収穫。 ピロスマニは、「百万本のバラ」のロマンチックな唄の モデルになったグルジアの国民的画家。学生時代、岩 波ホールに通っていたころ、この映画を見た記憶があ る。(余談ながら、ネットで検索したら、この映画、つ い最近、BSで放送されていたことを知った~見逃して 残念。ただ惑星ソラリスが来週放送される!) ルソー同様、素朴派の画家。暗い背景に白い顔の男女。 そして、優しい動物たち。10枚ものピロスマニの絵 を観ることができて嬉しい。ピロスマニの名前が冠さ れたワインまで売っていた。甘口だということで買わ なかったが。 シャガールの絵は3枚しかないが、キュビズムタッチ で描かれた「家族」は、夫婦が一体化した幻想的な作 品。このころのシャガールのキュビズム作品は面白い。 もうひとり、マレーヴィチを知ったのも大収穫。ネオ・ プリミティブ→立体未来派→スプレマティズムと画風 を変えていったロシアの画家。(ちなみに作品リストに は、それぞれの語句の説明や、年表も記載されていて、 丁寧で分かりやすい。) 難しい絵画理論は横に置いても、「農婦、1913年の モティーフ」などの絵を見ていると、抽象的でもある が、どこか懐かしさで胸がいっぱいになる。 この画家、一世を風靡しながら、海外に出ず、ロシア に残ったために、スターリンの大粛清後、最後は測量 技師として具象画を描きながら、ひっそりと死んでい ったそうだ。しかしながら、最後に展示されていた 「芸術家の妻の肖像」は美しい。 そのほか、ドミートリエフの「サーカス」の絵にはハ ッとなった。踊り子と馬に乗る曲芸師?諸星大二郎の 絵にそっくりではないか。 「アエリータ」という1,924年製作のSF映画のワン シーンも上映されていたが、これも面白い。当時の大 都会の映像が近未来都市として描かれている。 作品数はさほど多くないが、大満足の展覧会。日曜午後の せいか、お客さんもそこそこの入りだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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