カテゴリ:アート
memeさんのブログで知った展覧会。これは奈良 から戻ったら真っ先に行こうと思っていた。 入江→土門って、いい流れだ。 室生寺のコーナーから始まる。先週末、この寺に 出かけたとき、弥勒堂の国宝「釈迦如来座像」に さほど感動しなかったのだが、土門拳の写真を 見て、「おまえは何を見ていたのだ」とガンと 叱られたように感じた。 クローズアップされた釈迦如来の写真。胸や足の 裏の年輪。衣の堀の切れ味の美しさなど木の魅力で 満ち溢れている。特に足の裏には驚いた。仏の 三十二相のひとつ千輻輪相のように年輪が表現 しているのだ。すっきりとした鼻、きりっとした目。 右手の縵網相もよく分かった。 仏像は、これだけ大きく伸ばされた写真を見ると 多くの発見がある。書籍の写真では分からない ことが多い。実物を見ても然り。 法隆寺夢殿の救世観音。まだ実物は見たことが ないので、本で見ている限り、神秘的な顔をして いるとばかり思っていた。しかしこの展覧会での 写真を見ると、観音のほほ笑みは神秘的というより、 人間的であった。普通のおっさんがニタァと 笑っているように思えてならない。 さて、仏像以外の写真。昭和11年の浅草。今も 昔も変わらない、立ち飲み屋の風情。横須賀海兵団の 一糸乱れぬ秩序正しい美しさ。(ただし自分では できないし、やりたくもない。)赤十字看護婦の 出征には涙が誘われる。 子どもたちの写真は大好きだ。ちょうど、今定年 退職する団塊の世代の子ども時代。みんなおじさん、 おばさんになってしまった。(ああ、自分も~) 弁当を持ってこれない筑豊の子ども。じっと本を 読んでいる姿に泣ける。ヒロシマはいつ見ても 衝撃的だ。 職人の手のクローズアップ。ただの手が何故 こんなに美しいのだろう。 藤田嗣治のカウボーイ姿の写真。戦時中、こんな 恰好を発表されて大丈夫だったのか? 最後に画家になりたかったという土門の油絵が ある。黄色い洋服が美しい女性像。ひたいの盛り 上がりが印象的なモディリアニ風の絵。画家に なってもきっと大家になったことだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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