手塚治虫先生の思い出を語った「BJ創作秘話」の4巻が発売になっていますが。
この巻では手塚先生本人というより、その周りの人物にスポットが当てられています。で、中で私も大好きな映像監督である大林宣彦監督が子供の頃、漫画を悪書として学校の校庭で公然と焚書されているのを、子供のころの監督が拳を握って見つめている(監督は漫画が大好きだった)描写があります。
わずか半世紀前まで、漫画はここまでひどい扱いを受けていたんです。同じ事は「ゲゲゲの女房」の水木先生もマンガを悪書として当時大変な迫害を受けた事などが取り上げられています。
同じ事は自分の今仕事としているゲームの世界でもありました。未だにその残滓は引きずっていて、何かにつけてゲームを悪者にする知識人やメディアの発言は、上の漫画害悪論と何もかわらない。
自分達の世代にはなかった文化を「悪」と決めつけ、一方的に見せまいとする。今から見ると滑稽に見えるこの光景の恐ろしさをぜひ見ていただきたい。
そして、あの時、燃やされたマンガを描いていた手塚先生が、今や「クールジャパン」なる国を挙げて推し進めようとするマンガやアニメ文化の礎を造ったことを考えると、たとえば昨今のはだしのゲン問題や青少年保護という名の表現規制のような「自分にとって都合が悪い、見たくないものを他人にも見せないようにする」行為がいかに独善的で愚かしい事か、よくわかると思います。
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