FANTA-G

　731部隊、朝鮮人虐殺…不都合な歴史を「なかったことにしたい人たち」に感じた“怖さ”

　私も好きな時事芸人のプチ鹿島さんのコラムです。で、このプチ鹿島さんがこのコラムを書いたというところに非常に大きな意義があります。というのは、かれは時事芸人と称するように、新聞を毎日全国紙、地方紙、その他東スポなど16誌、それ以外にも大衆雑誌、それこそ下世話雑誌まで集め、その情報を単にアーカイブするだけでなく、いま政治で起きていることや政治家の発言をその人の過去にさかのぼって発言の矛盾などを指摘したり、あるいは社会問題の根源に当たると思われる昔の記事を見つけ出して比べてみるなどを話芸にした芸人さんであり。

　そういう芸人さんにとって、この「歴史」とか「記録」というものをなかったことにはできない。人間、都合の悪い事は誰もが思い出したくないしなかったことにしたがる。それの顕著なのが上記記事内の７３１部隊であったり、関東大震災での虐殺であったり。

　この中で強く思ったのが「歴史的事実資料が大量にあるのに「さまざまな意見がある」で過去を隠蔽しようとする連中のことだ。

　さまざまとは何か？たとえば関東大震災での外国人、およびそれと疑われた地方出身者、言語が不自由な人の虐殺は当時の公式記録、裁判記録、警察の報告書などの資料から「実際にあった」のです。それも日本各地で。にもかかわらず「そんなものはなかった」「日本人はそんなことはしない」「これは日本人を貶めようとする左翼主義者や○○人のスパイが・・・」という人たちの、論議のテーブルにのせるに値しない（証拠がない）ことを混ぜこぜにして「さまざまな意見がある」は通らない。

　彼らの言うのは「さまざまな願望がある」とすべきで。

　プチ鹿島さんが数十年前から集めている新聞や雑誌などの情報は、そういう人たちに対する「いえ、でも当時こういうことをおっしゃってましたよね？こういうことがありましたよね？こういう資料がありますよ」という歴史の証拠でもあり。だから広く、硬軟取り混ぜて情報を探っている人だからこそ、こういう「なかったことにしたい」連中を許さないのでしょう。

　太平洋戦争が終わり、軍部は各地で機密文章の焼却をおこないました。ここには当時の状況であっても非人道的で許されない作成計画書や、公にしたらこれまでの軍への信頼が瓦解する（すでに負けて信頼もクソもないのですが）都合の悪いものが大量にあった。だからこそ、アメリカに接収される前に焼却しようという。これは過去の話ではありません。つい数年前にも桜を見る会の公文書が野党の追及されたその日になぜかシュレッダー処分されたという、露骨な隠ぺいを行うのがこの国の政府です。特に上記記事にある７３１部隊に所属していた人の証言すら「日本の名誉を貶めるな!」と言ってくる意味不明の人が・・・隠ぺいすることの方がその名誉を汚すことなのに。

　こうした「なかったことにしたい」人々に私たち個人は加担してはならない。それが自分にとって不都合な真実であっても。

　学校のいじめ問題と同じ。いじめた側は大人になってそんなことは自分はしていない、という顔で今の子供のいじめを語る。下手したら「自分のクラスはいじめがなかった」とまで。しかし、いじめられた側は何十年たっても絶対に忘れない。