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2015年05月30日
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カテゴリ:国内「い」の著者

稲田浩二・稲田和子・編著『日本昔話100選』(講談社+α文庫)その2
いな稲田浩二:日本昔話100選.jpg
その1のつづき


【日本一へのこだわり】
 桃太郎が鬼退治に出陣するとき、爺は「日本一の桃太郎」というのぼりをつくります。婆は「日本一のきび団子」をつくります。なぜ「日本一」なのでしょうか? おまけに鬼が島についたとき、「日本一の桃太郎である」と口上を述べています。「日本一」にどんな意味があるのでしょうか。

【家来の存在】
 新入社員への訓示で、「桃太郎」を引用にする人がいます。猿は知力、雉は情報収集力、犬は行動力の象徴とし、みなさんは3つを兼ね備えなさいと結びます。わかりやすいたとえです。家来はなぜ犬と猿と雉でなければならないのでしょうか?

 私は選択基準を「日本」に、こだわりたいと思います。雉は日本の国鳥です。だから鳥類の代表として選ばれるのは当然です。猿も犬も「日本」の冠をかぶせた品種があります。ほかに「日本」をかぶせられた動物はいるのでしょうか? 少なくとも「広辞苑」には記載がありません。思い浮かぶのは日本カモシカ。これは洋モノっぽいし、力はなさそうです。逃げ足だけは速そうですが。桃太郎が選んだ家来は、いずれも日本の代表的な品種。そう考えて間違いないと思います。

 桃太郎の類話「桃の子太郎」では、鬼が島へ渡るには、大きな河を越えなければならないことになっています。桃太郎は犬の背に乗り、流れを渡ります。猿は雉の背に乗り、宙を飛びます。だから雉と犬は必要だったと説明すると、猿の存在の意義がわからなくなります。

 桃太郎は、智恵も行動力も兼ねそなえています。ではなぜ、智恵・猿と行動力・犬が必要だったのでしょうか? 鬼が島に、鬼がどのくらい棲息していたかの記載はありません。桃太郎の実力プラスきび団子効果(十人力)だけでは、太刀打ちできなかった数の鬼がいた。こう解釈するのが正しいと思います。だから桃太郎は家来を欲っしたのです。それも自分の分身みたいな、猿と犬が必要だったわけです。猿と犬の参加により、もう一人前の桃太郎が誕生しました。桃太郎が2人できた計算になります。

 桃太郎はまだ不安でした。絶対的に勝利するためには、なにかが欠けています。そんなときに雉があらわれました。

 やがて家来となる3種の動物が、桃太郎の前に登場する順序に着目したいと思います。多くの物語は、犬、猿、雉の順序で家来になっています。私はトリで現れる鳥に注目したいと思います。桃太郎には、雉のヘリコプタービュー(高いところから大局を観る)だけはできません。桃太郎が、もっとも必要としていた家来は雉。真打は最後にあらわれるのです。

 例外のテキストもあります。、犬、雉、猿の順序で登場します。あ行のいぬ、か行のきじ、さ行のさるの順番だろうでは、説得力がありません。

【鬼ケ島について】
 私の記憶のなかの「桃太郎」には、鬼退治に行く必然性が希薄です。鬼は村人たちに危害を及ぼしているのだろう、との推測はできます。1つのテキストでは、殿様の命令で鬼退治に行くことになっていますが、理由ははっきりとしていません。別のテキストには、鬼が村へやってきて、小判や村人の大切なものを盗んで行くとあります。

 鬼が島へ行く目的は妹探し。「巷の文芸」の例は先に紹介しました。ほかには「嫁探し」とする話も存在するようです。松居直『ももたろう』(福音館書店)がそうらしいのですが、まだその本が見つかりません。

 あるテキストには、「桃太郎は日本一という旗を背負い日本男児の象徴として、侵略戦争の国威発揚の道具とされてゆく」てんまつが書かれています。このころの「鬼」は、鬼畜米英に見立てられていました。この説は後づけだと思います。桃太郎の話が伝播したのは、はるかに前のことですから。

【持ち帰った財宝】
 桃太郎にひれ伏し、鬼は命乞いをします。助けてくれれば、奪った財宝のすべてを返却するといいます。桃太郎は財宝をもち帰ります。爺と婆は、元気で戻ってきた桃太郎を見て安心しました。ほとんどのテキストは、こんな具合に物語は終っています。ただし2冊のテキストだけは、天子さまが桃太郎の活躍にほうびをくれるとなっています。それで爺と婆は幸せに暮しましたと結ばれています。

 類話「桃の子太郎」は、「爺さまと婆さまはよい着物ばかりきて、いつまでもながく暮した。そこでとっぱれ。」で終ります。これでは鬼からとりもどした財宝を、着服したように感じてしまいます。2人は豊かにならなくともよいのです。

【その後の桃太郎】
 桃太郎の話は、まだ完結していません。鬼退治を終えた桃太郎は、目標を失ってしまい、虚脱感にさいなまれています。することがないのです。ましてや、山の中での暮らしです。退屈で仕方がないはずです。若くて力持ち、しかも聡明で勇気があります。この人をいつまでも、田舎暮らしさせておくわけにはゆかないと思います。

「続・桃太郎」の話は、どこかに存在しているはずです。もしも存在していなければ、私が書こうと思います。

 まずは、稲田浩二・稲田和子・編著『日本昔話100選』(講談社+α文庫)を探してみていただきたいと思います。そして私の設問のようなことを考えてみてください。結構楽しめますよ。 
(山本藤光:2010.05.22初稿、2015.05.30改稿)






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最終更新日  2017年10月09日 03時01分42秒
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