A Strange and Sometimes Sadness 0『ある種一風変わった、そして時に悲哀』カズオ・イシグロ
おはようございます、ひなこです。カズオ・イシグロ氏のデビュー作の短編3作を訳そうプロジェクトです。まずは、A Strange and Sometimes Sadnessからです。うーむ。タイトルから躓きました。Strangeって形容詞ですよね。A strangeの後に名詞がくれば意味はわかります。例えば、A strange manとかね。A Strange and mysterious womanとか。でも、A Strange and Sometimes Sadnessって、どうつながるんだ?!the + 形容詞だと人物になりますが、 a +形容詞も、私の知らない文法ルールがあるのか?!実はこのタイトルは、本文の中に出てくる一部で、小説内では、Rather, it brings me an oddly disturbing kind of sorrow, a strange and sometimes sadness I find hard to place.というのが前後の全てです。この流れだと、ちょっとわかりやすいかな。むしろ、それは私に、ある種一風変わった、時に思い出すのがつらいほどの悲哀である奇妙で不穏な種類の悲嘆をもたらす。タイトルから躓いてこの先どうなるんじゃと思いながら、最初から読み始めると、おっとこれは、長崎出身の日本人女性がイギリスへやって来たという、今までずっとデビュー作だと信じていた、『遠い山並みの光』につながる物語であることがわかります。一気にカズオ・イシグロワールド突入!と、今回はタイトルの話で終わってしまいました。御機嫌よう!