理論証明...
実験的に証明されれば、理論的見解が薄弱でもよい、というような風潮が、モノづくりの現場にはあるように思えます。本当にそれでいいの?実験的な証明は、あるテスト条件に基づいた上で得られた見解であって、それがどこまで汎用的かは実証ではわからないはずです。その点、基礎科学に基づいた証明=理論証明がなされれば、その証明の適合性は一気に広まります(ただし、完全とは言えません。我々が知っている基礎科学は、自然の中のごく一部しかありませんので)。さらにもう一つ困ったことに、解析ツールの発展とともに、解析結果が理論証明を兼ねている、と思っている人も増えてきているようです。これまた誤解で、解析ツールの計算ロジックをきちんと押さえておかないと、どこまでが基礎科学に基づく理論式で、どこからが実験式(これを工学的に理論式として扱ってしまう場合もありますが、この点は注意が必要)か、を正確におさえておかなければ、誤った判断をしてしまいます。解析ツールの難しさは、ソルバーの中身がよくわからないのが問題です。なので、モノづくりで一番重要なのは、基礎科学に関する素養を身に着けることだと思います。