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 小説ブログ 「GO!GO!花園」

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ようこそおいでくださいました。Madam Garden こと花園夫人です!

オムニバス短編小説で、駐在員団地のばたばたな日常を書いてます。

この物語はフィクションであり、実在する企業、団体、人物などとは関係ありません。C国は架空の日本の隣国…っていうか明らかに中国ですね。でも、Q市はあくまで架空の一都市です。登場人物も特定の個人をモデルとするものではなく、すべて作者の想像上の産物です。

作者の注意散漫なうっかり体質による読み苦しい間違いも多々あるかと思います。広い心で付き合ってください。

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2010年05月10日
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GOGO花園って何?って方は、第一回のコチラから
この章をはじめから読むにはココ


誰にも期待も信頼もされてない(ような気がしてます、最近)予告どおり、今回はサクッとはやめの更新です。ともかく、ご愛読ありがとうございます。
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 迷える羊の幸恵さんの巻  (8)5分の2の確立


「ごめんなさい。ランチなんていつでもよっかたのに。」

「良いの良いの、自分でもこんなことになってるてわかってなくて。こっちこそ、つき合わせて本当にごめんね。」

と、お互いに謝りながら幸恵と宮地まさみはビルの車寄せまで降りていった。C国に転勤してきたばかりだと、言葉の通じないタクシーに乗るのも気が引けるという日本人奥様は多いが、宮地さんはもうずいぶん慣れた感じででタクシーを捕まえるとドアを開けて、「その足だと降りるとき大変そうだから私が先に乗りますね」とさっさと乗り込んだ。

  タクシーを捕まえるといっても魅力広場の車寄せに次々と入ってくるタクシーに乗ればいいだけのことであるが、住宅のほかに店舗、オフィスがある魅力広場の車寄せにはいつもタクシー待ちの人が絶えず、日本人の感覚でいうと列になって並ぶべき乗り場のサイン付近にいつも車を待つ人が団子状になっている。タクシーの方も乗せて来た客を降ろしたものと、客待ちで入ってきた空車がごっちゃになってそのほかの車両と乱れ、どれに乗ったものか戸惑っていると、どんどん割り込まれてしまう。待っていればいつかは乗れるけど、ぼやぼやしてたら後回し。宮地さんはそこをうまく立ち回って、あとから来たのに、幸恵たちの前に立ちはだかって空車を捕まえようとする現地のビジネスマングループに牽制をかけ、入ってきた空車のドアをつかんで自分のものにした。さすが元バックパッカー、ぽっと出の駐在奥様とは違う。

  タクシーにと乗り込むと、「まったく油断も隙もありゃしない」とビジネスマングループをにらんで笑う屈託のない宮地さんを見てて、幸恵は気が楽になった。酒井夫人のことがあったから、夫がらみの知り合いというだけで倦厭してたけど、この人とだったらそう気を使わずに付き合えそう。今日はひどい目にあったけど、出かけてきてよかったみたいだ。気を許した幸恵は先ほどの出来事を打ち明けた。

「さっき、転んだのはね、実はよそ見していたからなのよ。よそ見していたら目の前の道が陥没してて、そこにはまって転んじゃったの。馬鹿みたいでしょう。」

「よそ見なんて何見てたんですか?よっぽど目を引くものがあったとか?」

「それが、たいしたものじゃないの。マッサージの看板。ほら、みんなよくマッサージとか行ってるでしょ。私も好きなんだけどまだしたことないから、ちょっとやってみようかな、なんて考えてたらこんなことになっちゃって。マッサージを受けるどころかこれからきっとレントゲン。あーあ、ギブスとか松葉杖とかにならないといいんだけど…。」

  タクシーは少し進んだと思ったらすぐ信号に引っかかってしまった。確かこの先の交差点は、右折用だの左折用だの複雑な信号がついていて、中々突破できない魔の交差点だった。ふと見上げると、さっきの看板が見えた。

「ほら、あれ、あるでしょう、あそこのかんば…え?」

massa-ji.jpg

幸恵は例の看板を指差したまま口ごもった。…ちょっと待って。マツサーヅって何よ。さっき見たときの違和感は、そうか、カタカナが違っていたのか。

  宮地さんは一目見てすぐにわかったらしく、隣で吹き出している。

「えー、何あれ、マつサーづ?」

幸恵は遅ればせながら納得してニヤニヤした。

「ぱっと見てなんかヘンだとは思ったけど、そおいうことだったんのね。」

「すごい!5文字中3文字しかあってないけど意味が通じる!結構すごい?英語だったら判読不能なんじゃないの?」

「でも、こんなもんのために足元がおろそかになってこけるとは。ほんっとなさけない。」

宮地さんと幸恵は、さっきのレストランよりもいっそう打ち解けて、前から中のよい友達のようだった。

(つづく…)



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最終更新日  2010年05月10日 14時01分08秒
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