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カテゴリ:夏の夜の怪談 呪われた館の望さんの巻
C国Q市に駐在する日本人駐在員の集まる駐在員団地で奥様たちが繰り広げるオムニバス物語。フツーな人がいないといわれるGOGO団地。人の多く住まうところ、愛あり、憎しみあり、噂あり。駐妻の秘密の花園。
GOGO花園って何?って方は、第一回のコチラから この章をはじめから読むにはココ こんばんは。ご訪問ありがとうございます!体調不良に苦しんでおります。でも寝込むほどではないんですよね。家でだらだらしてるのがちょうどいい感じなので、がんばって書いてみました。長くなったのでとりあえず、前編。 ○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○● 呪われた館の望さんの巻 (8)恨みと呪いの館 (前編) 「そして、その女は、切ったところが悪く、数日後に病院で死んだ…亡くなったんだって。」 語りだしたらとまらぬ勢いで、講談師ばりに、なんであんたがそんなこと知ってるのということまでもその場で見たかのように語った金井さんは、お茶を一口すすってから、デザートのマンゴープリンに手を伸ばした。望をのぞくほかの2人は話を聞きながらもうプリンを食べてしまった。後藤さんがみんなにお茶をついでから、片手を上げてウエイターに急須にお湯をさすように合図した。食べ終わった兵頭さんがあとを継ぐように、 「そう、あの時は大騒ぎだったんだから、Tさんって人が会社にいけないように朝っぱらから乗り込んできての大騒ぎだったのよ。ウチの子幼稚園バスまで送りに行った帰りにたまたま通りかかって救急車見たわ。あれ、何号棟だっけ?9号棟かな。」 スプーンを使う望の手がぴたりと止まった。 「え、9号ってうちの…どこの部屋だったんですか?」 玄関ドアのまん前にお向かいの家のドアがあって、リビングでの騒ぎが筒抜けになるのは4号室と6号室だ。9棟の住人にはここ2~3年花園に住んでる古顔が多い。ひょっとして、それって4階の4号室の我が家であった出来事じゃないの? 我が家で流血事件?人が死んだ?濃厚でおいしいと思っていたマンゴープリンの味が急にわからなくなった。 望は、スプーンをテーブルにおくと、兵頭さんと金井さんを質問攻めにした。大福ビルに住んでいて、事件の直後に引っ越してきた後藤さんは黙って成り行きを見守っている。まさか、事件が望の家であったとは知らずに面白おかしく語った金井さんは、ばつが悪いのか急に口数が少なくなったが、言いだしっぺの負い目から知っている範囲で答えてくれた。詳しく聞けば聞くほど、怪しい。 とうとう、望は、帰りのタクシーの車中で、渋る兵頭さんに頼んで、知り合いに電話を入れてもらい、事件があった部屋が今の自分たちのマンションであることを確認した。 なんてことだ。流血事件なんて考えただけでおぞましい。自分らの住む家のどこの部分に血が流れたんだろう。それに人が死んだなんて,殺人未遂?ではないか。でも、怖い、怖すぎる。…でも同時にやっぱり、と思っている自分もいた。やっぱり、あのうちには恐ろしいいきさつがあったのだ。あの家は呪われている。愛人に捨てられて逆上して死んでいった女の情念が今もあの家に宿っているのだ。 数ヶ月前、そういえば…あの家に越すことが決まったとき、花園のリース担当者が前に住んでいたのはK物産の赴任家族といってたような気がする。なんでも3人目の子どもができて手狭になったから、半年住んだだけでほかのマンションに移ったとか…。リース部の女性は、「前の住人は半年しかいませんでしたが、きっちりメンテいれておきました」と、自慢げに言っていたっけ。 子どもができたから引っ越す?そんなの嘘だ。子どもが生まれるなんて半年前にはわかってる。もっと広い家がいいなら、なにも出産後の忙しいときに引越しなどせずに、始めからほかの家を探すのではないか?きっと前の人たちにも何かがあったんだ。前の人たちはあの家が不気味で越していったにちがいない。 (つづく…) あと2回で終わるのか?たぶん無理。 無駄に長引いてるような気もしますが、もう少しお付き合いください。 それでは皆さんよい週末を~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年10月22日 20時44分41秒
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