********* X'mas 企画 15 days of Christmas in 花園 ******
サンタクさんの贈り物 終章 クリスマスの夜に
クリスマスの夜、奥さんの計らいで早めに帰宅したリンホンは、背中を壁に預け自室のベッドに座って、今日一日のことを考えていた。午後になって、朝の興奮から冷めてた大樹が、ふと思い出したようにリンホンに聞いた。
「リンホンのとこに、サンタクさん来た?」
「こないよ。サンタクさん、子どものところ、来るでしょ。リンホン、大人だから。」
「そうかあ。」
大樹にはああいったけど、自分のところにもサンたくさんは来たのかもしれない。だって、クリスマスのおかげで、大樹と奥さんの優しい気持ちに触れられた。自分のことを、あんなふうに思ってくれていてくれいたなんて、クリスマスがなかったら気づかなかったことだ。
サンタクさんは、子どもにはおもちゃを持ってくる。大人には……、大切な人を大切にするチャンスをくれる。
夜が更けてから、リンホンは田舎の家族に手紙を書いた。元気にやっていること。クリスマスに、大樹と奥さんからすごく素敵なプレゼントをもらったこと。春節(旧正月)の休みには必ず帰ること…。祖母はほとんど盲目だし、両親は読み書きが苦手で、基本的な字しか読めない。高校生の弟が、両親と祖母のために、声に出して読むことになるだろう。
この前クリスマスツリーを飾ったときに、大樹と奥さんと一緒に撮った写真も同封した。てっぺんに星のついたツリーをバックに3人が笑っている。奥さんのほうがリンホンより顔の色が一段も二段も白い。こけてしまった頬も、写真だとあまり目立たなくて、とても美人だ。こんなきれいな奥さんのとことで働いてるなんて、田舎のみんなはびっくりするだろう。リンホンは誇らしいような気持ちになった。実際は、すっかりきれいになって垢抜けたリンホンを見てみんなはびっくりすることになるのだが。
リンホンは手紙に、お母さんからもらったオルゴールを毎日聞いていることを書いて、消した。そんなことを書いたら、故郷を恋しがっているように思われてしまう。要らぬ心配はかけたくない。それに、弟が読むのだから恥ずかしい。
リンホンは、田舎の家族にもう一つ言いたいことがあった。最近、オルゴール以外の自分の大事な宝物について気づいたこと。私にとっては家族が宝物。
おばあちゃん、お父さん、お母さん、弟…私のことを心配して思っていてくれる人たち、あなたたちが私の宝物。あなたたちがいるから私はがんばれる。でも、言葉がうまく出てこない。ペンは止まったままで動かない。いつも支えになってくれてありがとう。今度あったときにも、照れくさくていえるかどうかわからないその言葉を、リンホンは心の中で何度も繰り返した。
(おわり)
やっと終わったって思ってますか?
私はちょっと思ってます。メリークリスマス!
新作は以前に宣言して実現していない、オトナの話題。まだ書いてませんが…
新年にお会いしましょう!