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カテゴリ:芸術
「大エルミタージュ美術館展」を見てきました。この美術展、サブタイトル が「世紀の顔・西欧絵画の400年」とあってルネサンスから20世紀のマ ティスまで幅広い年代の有名作品が見られるからなのか大人気!平日 の昼間でもかなり混んでいたし、レストランにはランチタイムともなれば 長い行列ができてました(年配の女性グループが圧倒的に多かった) いろいろな作品が置かれている中、私が立ち止まってじっくり見るのは やっぱりキリスト教やギリシャ・ローマ神話を題材にした絵、やっぱり描か れている題材がわかりやすいし、どこかで見たことがあるという安心感 があるのです。特にスケドーニの「風景の中のクピド」や「聖家族と洗礼者 ヨハネ」それから18世紀の「モルフェウスとイリス」の絵などが気に入りま した。どれも甘美な画風で当時の詩人や貴族に絶賛されもてはやされた とか、私の好みもそれに近いものがあるようです(笑) ルイーニの「聖カタリナ」の絵を見て「女教皇ヨハンナ」にもその名が出て きたことを思い出しました。本を持っていてとても賢そうです。「ヴァヌカヌス の鍛冶場を訪ねるウェヌス」を見て夫に不実で浮気ばかりしたウェヌスも 自分の息子のためには夫を訪ねて武具を作ってもらうのね、と思ったり 「古代ローマの公衆浴場」の絵で「テルマエ・ロマエ」を思い出したりと知っ ている話や映画などで見たシーンに近い絵があるとテンション上がります。 まあ逆に言えば今回の美術展、セザンヌやマティスなど教科書で見た覚え のある絵だ!とかなじみのある物語の絵だ!とあくまでも知っている、見覚 えのある絵を見て確認して喜んだのであって、自分にとって初めてだけど 忘れられないと感激した絵に出会うということはありませんでした。 感動したというわけではないけど気になった絵の1つがアブラハム・ブルー マールトの「トピアスと天使のいる風景」です。描かれた時が1600年代 初めだったことと、この題材の絵は別の雑誌でヴェロッキオやボッティチー ニが描いた絵を見て記憶にあったからです。ヴェロッキオの絵は天使ある いはトビアスのモデルはレオナルドとかいう説もありどちらもすごく美しく 衣装もきらびやか、一方ボッティチーニの絵は3人の天使に守られて旅 をしています。1470年頃に描かれた2つの絵がどちらもきらびやかで衣装 も豪華、トビアスがまるでピクニックでも行くかのように楽しそうに天使と手 をつないで歩いているのに対して、今回見た「トビアスと天使のいる風景」 は主題は風景、壊れかけた家やそれを修理する人がリアルに描かれてい て、トビアスは画面の隅の方、服も地味でうつむいて疲れた感じなのです。 時代と描いた画家の住んでいた国が違うと同じ題材でもこうも違った絵に なるのかと驚きました。ヴェロッキオの絵が夢のように楽しい旅の絵なら、 ブルーマールトは現実の旅、その厳しさが伝わってくるような絵でした。 今回見た中で一番印象に残った絵かもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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