ヘドウィグを観ると、ボウイの曲が聴きたくなってしまうのは
三上さんのときもそうで、いまも聴いています。
【舞台・映画の内容に触れますので、お読みになりたくない方は
どうぞスキップなさって下さいね】
中学生の頃、ラジオの英語学習番組のブレイクでかかった中国娘の衝撃から
聴き始めた、ヘドウィグ&ベルリンにもご縁の深いディヴィッド・ボウイ。
山本耕史くんの舞台パンフの表紙にも似通う「ハンキー・ドリー」は
最初、ジャケットの美しさに吸い寄せられて購入。
「チェンジス」(乾電池のCMソングになっていますね☆)、
「火星の生活」(シナトラのマイ・ウェイと同じコード進行)など、
名曲が収められています。
あらためて「火星の生活」の歌詞を読んでみると、
ヘドウィグの東での生活がリンクするように思いました。
リンクするといえば、今回の舞台の演出家・鈴木勝秀さんもご指摘なさっていたように
「ジギー・スターダスト」と「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の
関係性も興味深いところ。
耕史くんが高く高ーく腕を振り上げて、繰り返し繰り返し歌い鼓舞した
ラストナンバー、「Midnight Radio」の‘lift up your hands... ’が
まだ耳に残っているうちに、アルバム「ジギー・スターダスト」のラスト、
「Rock & Roll Suicide」を久しぶりに紐解き、聴いてみましたら、
‘Gimme your hands cause youre wonderful 'と、
やはり繰り返しボウイがシャウトしていて。
また、今回の「ヘドウィグ」の舞台の楽曲は11。
「ジギー・スターダスト」に収められている作品も11。
ヘドウィグの二曲目には「Origin Of Love」、
ジギーの二曲目は「Soul Love」。
舞台で耕史くんが表現していたギタープレイ、
これと同じことをしているボウイの写真も、
ショップで手にしたCDの方には収められていました。
(ついでに、ジギーの最初の曲が「Five Years」で
耕史くんの次なる舞台は「THE LAST FIVE YEARS」だったり☆)
タイトルを見比べ、聞き比べてみるのも、面白いなと思います。
スターダムに上りつめ、星屑のように去ってゆく男の一代記を、
ロックを奏でながら、まるで舞台役者のように演じつつ、
駆け抜けたボウイ=ジギー。
舞台でありながら、数奇な運命を辿った人物の遍歴を、
臨場感溢れるライブハウスで、スターと対峙しているかのような
作品に仕上げたミッチェル=ヘドウィグ。
どちらも、演劇、音楽の壁を超えた、縦横なステージだったことでしょう。
1963年生まれで、10代のはじめに、
この70年代のロック界を席巻したアルバムを
リアルタイムで聴いていたであろうミッチェルがインスパイアされたもの。
ベルリンでドラッグから起死回生したボウイが、
グラミー賞授賞式をすっぽかして、ヘドウィグの舞台に足を運んだということも、
大いに納得できるような気がするのです。
さて、80年代に小学校~大学までの学生期を過ごした身にとって、
ディヴィッド・ボウイの入り口は、やはりこちら。
ポップなボウイを、お好みでないファンもたくさんいらっしゃるようですけれども、
ここを入り口として、一通り彼の作品に触れる機会を与えてくれた功績は
大きいのではないかなと思います。
壁崩壊前に発表されたこのアルバムは、東側のラジオでも流れていたでしょうから、
ヘドウィグのキャッチーな音曲に、紛れ込んでいるエッセンスを探してみるのも面白そう☆
よき作品が様々に与えてくれるインスピレーション。
ヘドウィグを観て、ボウイを再び聴きたくなり、さらに
レノンへの銃撃で始まり、ベルリンの壁崩壊で幕を閉じた80年代を
少し振り返ってみたくなりました。
「それでもボクはやってない 観賞」
「それでもボクはやってない&ユメ十夜 観賞」
「ユメ十夜 観賞2」
「チック、チック...ブーン! 観劇」
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「オーラの泉・山本耕史さん」
「演劇・映画・文学談義」