中村獅童さん主演の舞台に。
初めて観た歌舞伎「小田原騒動」、勘太郎さん&七之助さんとの
三人吉三で拝見して以来、獅童さんのライブは3度目。
【舞台の内容に触れますので、お読みになりたくない方はどうぞスキップなさって下さいね】
浮世絵から抜け出たような役者顔に、硬軟あわせもつというよりは、
軟弱者!のバリエーションをたくさんもっている方。
物凄くいい男然にもなれるものの、コミックのようにたちまち変化して
台詞を私しつつ観るものを巻き込めるひと。
線と声の細さは気になるものの、立ち姿の美しさは、
やはり群を抜いている草刈民代さん。主演役者いっぱいの舞台のなかでも
彼女がひと声発すると、空気がガラリと変わる存在感がありました。
平岡祐太さんは「咲くやこの花」「龍馬伝」などで観た方、
草刈さんの男役に対するときは、女姿の骨太なのが意外でしたけれども、
美しさでいえば充分、ギターの腕も披露していただけてお得な舞台でした。
お得といえば、物語の設定上、必要不可欠なのが「大衆演劇」で
いくつもの劇中劇が展開するのを監修、かつ素人の役者として立たれたのが
大川良太郎さん。凄まじい眼力で、どうあっても素人にはみえない華。
少し奥に置かれたセットのためか、マイクのためか、
全体的に役者さんたちの声が届きにくい舞台でしたけれども、
大川さんのクリアな声だけは、すみずみまで通っていたことと思います。
面白い方だなと思ったのは、佐々木喜英さん。女性に見紛う麗しさながら
破壊的な役柄で、獅童さんとの硬軟コントラストが恐ろしいほど。
狂気を秘めた方ではないかしらとお見受けいたしました。
もともとはTVドラマを舞台化したとのこと、機会があれば、
往年の名作の方も観てみたいと思います。
「演劇談義の日記」