「当方の技術者がシャンデリアに電気の配線を施したことで当時の形が蘇ったのです。」
天井に掲げられたアールヌーヴォーの美術品を見上げつつ同時代を舞台にした大好きな映画
「オペラ座の怪人」の冒頭の台詞さながらの学芸員さんの説明に、心のなかで秘かに
拍手喝采しつつ、あの壮麗なミュージカルナンバーを響かせていたいち見学者のわたくし☆
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(マリー・アントワネットの時代、ロココ絵画を堪能できる
ヤマザキ・マザック美術館が当地にオープンしたのは2010年。
絵画のみならず、ガレなど花器や家具のコレクションも充実、
美しい館内で満たされたときを過ごせるのを愉しみに、今年も企画展・
「エマイユの煌き」を鑑賞、その余韻覚めやらぬうちに
ヤマザキマザック美術館さんより「ブロガー募集」のメールを拝受。
「コンスタントにブログを更新している、美術館で開催されるブロガーデーに参加後、
一週間以内に展覧会の紹介をするブログをアップできる」などの応募要件のもと、
昨年に続いて幸運にも、閉館後の静かな美術館でスタッフの方のお話を聞きながら鑑賞、
一定の条件を守りつつ、館内の撮影をさせていただくことができました。
ブログ用の0.3Mの朧な画像とメモ書きと記憶に頼った拙文ではございますけれども、
麗しい美術館の魅力を少しでもお伝えできれば幸甚に存じます。)
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美しくアールを描いたシャンデリアは、どこにも修理を引き受けてもらえなかったため
ヤマザキマザックの社員さんの一人が配線をしたのだそう。
非常に細く、一度途切れたら取り返しのつかない当時の電気配線を辿り、
美術品の繊細さに恐れることなく果敢に挑まれた結果、四階エレベーターを降りた途端、
ガス灯さながらの陰影ふかい光に包まれ、アールヌーヴォーの世界に浸れるのです。
ドーム作のシャンデリアはホタテ貝や巻貝がモチーフに、
デュマ作の食卓用家具を水底に届く陽のようにやわらかく照らしていて。
ナナカマドがあしらわれた家具一式は海を渡る際、材質が木ゆえに
繊細なアールが伸びきってしまったのを、宮大工さんが修復されたのだそう。
潮風さえ想定していなかった家具たちが、いまは海底にあるごとく
静かに佇んでいる…などと来歴を知って愉しむことも。
グリュベール作の衝立
木目を生かした花鳥風月を愉しめる優美な家具の空間、さらに続きます。
「ヤマザキ マザック美術館 公式HP」
☆ 名古屋駅から地下鉄で7分、新栄駅の直通エスカレーターで美術館内に入れます。
「アントワネットの文机の日記」
「オペラ座の怪人の日記」