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カテゴリ:クラシック音楽
最近話題の天才ヴァイオリニストのHIMARIのコンサートに行ってきた。 テレビでドキュメンタリーを観て、コンクールでも負けなしということで、冷やかし気味だったのだが、それは全く間違いだった。 最初のショスタコーヴィチの5つの小品はお初にお耳にかかった曲 3曲目まではショスタコらしからぬ優しい響き。 4曲目でロシアっぽくなり5曲目でお得意のポルカが炸裂するという構成。 1番がHIMARIで吉田は2番を担当。 吉田の音が大きく、HIMARIとのバランスが悪い。 音はHIMARIのほうが線は細いが透明な音で、高音はとても美しい。 またG線の音は清冽というかハッとするような音でびっくり。 吉田は高音に難がある。 終始、吉田主導で進められる音楽は穏やかなもの。 どの曲もそうだが、総じて表情付けはあまりなく、さらさらと流れていく。 多分、HIMARIに合わせているのだと思うが、音楽としてはそれほど面白いものではない。 時々アイコンタクトをするシーンがあり微笑ましい。 吉田の弾くモーツァルトは、ピリオド楽器的アプローチではなく、ごくオーソドックスな演奏。 第1楽章はテンポが遅く違和感があった。 HIMARIのブルッフは情熱的に弾くかと思ったら意外とあっさりで、エンディングもあっさり終わってしまった。 原曲と比べてしまうとピアノが貧弱だが、筆者がオケの演奏しか知らないためでもあるかもしれない。 後半の最初の2曲は吉田の演奏。 「愛の喜び」は大げさな表現はなく、淡々と進む。 「タイスの瞑想曲」も粘らない。 大袈裟な身振りはないが、体調があまりよくなかったのか終始下を向いて、暗い顔で演奏している。 音楽はいいのだから、ポスターのような笑顔を見せてほしかった。 ミルシテインの「パガニーニアナ」はパガニーニのカプリース第24番の主題を使った7分ほどの曲。 超絶技巧がこれでもかと繰り出される難曲。 HIMARIは曲と戦っている感じはなく、すいすいと進んでいく。 音が小さいので無伴奏の曲のほうが彼女の音楽がよく分かる。 超絶技巧で圧倒する感じはないが、聴後感はなかなか良かった。 サラサーテの「ナヴァラ」は初めて聞いた曲。 スペイン情緒あふれる曲だが、味わは薄く、後半のテンポの上がったところでは、少しもたつく場面があったのが気になった。 アンコールは三曲 その中ではショスタコとジョップリンが気の利いた選曲で楽しめた。 前後半ともMCは曲毎ではなくまとめて吉田が担当していた。 結構詳しい解説で、覚えるだけでも大変そうなのだが、流ちょうな語りは玄人はだし。 HIMARIにさん付けしているのは、ステージでは別人格として扱っている証拠だろうか。 HIMARIは音楽は立派だが、しぐさは子供らしさが残っていて、そのギャップが印象的だ。 HIMARIは現在12歳で昨年からアメリカのカーティス音楽院で勉学中。 アンサンブル・タッシのメンバーだったアイダ・カバフィアンに師事しているという。 印象としては、シンガポールのクロエ・チュア(2007-)をyoutubeで観たときの感じに似ている。 ミッキー・マウスを思い出させるような、足が細くて、そこに体に似つかわない大きい靴が付いているような印象だった。 チュアは、最近ペンタトーンから出た「四季」のアルバムでは、少女から若い大人の姿になっていて、びっくりしたものだ。 HIMARIは現在は体も小さいし、筋力もないだろうが、数年後には音楽的に成熟した姿を期待させるコンサートだった。 ところで子供連れの聴衆が結構見受けられた。 年が近いので、聞かせたかったのだろうか。 HIMARI✕吉田恭子バイオリン・デュオ 前半 1.ショスタコーヴィチ:2つのヴァイオリンとピアノのための五つの小品 2.モーツァルト:ヴァイオリンソナタ第21番ホ短調KV304 3.ドビュッシー:月の光 4.ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調第1楽章 休憩 5.クライスラー:愛の喜び 6.マスネ・タイスの瞑想曲 7.ミルシテイン:パガニーニアーナ 8.サラサーテ:ナヴァラOP.33 アンコール 1.ショスタコーヴィチ:ワルツ第2番 2.スコット・ジョプリン:ラグタイム・ダンス 3.エルガー:愛のあいさつ HIMARI(1,4,7,8) 吉田恭子(1,2,5,6,8) 河野紘子(p 1-6,8) 2023年7月15日キャラホール5列30番で視聴 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023年07月16日 14時00分23秒
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