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カテゴリ:ジャズ
以前から気になっていたデンマークのベーシストであるマッズ・ヴィンディング(1948-)のトリオによる「Quiet Yesterday」を聴く。 いつものbandcampからの入手で、ハイレゾながら50DKK以上、Paypalで手数料がかかるにしても1100円ほど。 他のサイトでは概ね¥2500程なので半額以下で買えるのが嬉しい。 ディストリビューターによると、当地のモンマルトルでハウスベーシストとしてデビューし、800以上の録音と1000以上のラジオ/テレビ番組で演奏しているそうだ。 受賞歴も多数で、リーダー・アルバムも10枚以上リリースしているとのこと。 今回のアルバムは、Composing(2017)以来ストーリーヴィルでの4作目にあたる。 ようだ ピアノはイタリア生まれのダド・モローニ(1962-)、ドラムスはデンマークで活躍するニクラス・カンパニョル(1973-)。 プログラムはスタンダードとジャズメンのオリジナルを中心に、モローニの1曲を加えたもの。 緊密なアンサンブルをもつトリオで、メンバーの力量も高い。 目立つのはモローニのピアノ。 ビル・エヴァンス系のピアニストだろうが、骨太のサウンドのパーカッシブな打鍵で、ぐいぐいと迫ってくる。 反面、歌心も十分で、フリー系のフレーズも出てくるという懐の広いピアニスト。 冒頭の「All Of You」から絶好調でぐいぐい飛ばす。 自身のオリジナル「Quiet Yesterday」はアメリカ南部のダウン・トゥー・アースな気分が感じられるが、黒くはなく、爽やかだ。 「朝日のごとくさわやか」のアブストラクトで破壊的なイントロにびっくり。 続く高速のアドリブはダイナミックで、息をのむような演奏だ。 その後の、手数の多いドラム・ソロも多彩だ。 エンディングのピアノの無機的なソロも、ありきたりなものに終わらない異色の展開。 ビル・エヴァンスの名曲「Blue In Green」も通常の抒情的な演奏とは一味違う、骨太な表現がユニーク。 ベース、ドラムスも積極的にかかわり、この曲の演奏としては、実にオリジナリティに溢れる演奏だ。 「不思議な国のアリス」も速めのミディアム・テンポで、最初にリズミックなベース・ソロ、続いてここでも強力なピアノ・ソロ、最後に4バースが入る。 4バースでの切れの良いドラミングが爽快。 熱狂的な盛り上がりの後の、テンポを落としてのエンディングもなかなかしゃれている。 「ネイチャー・ボーイ」はベースとパーカッションのトレモロから始まる、暗くものものしい雰囲気。 途中キーという音が聞こえるが、シンバルか何かを弓で弾いているのだろうか。 ベース・ソロのバックでピアノとドラムスが蠢いているさまは、結構異様だ。 それでも、他の曲にくらべるとおとなしく、少し物足りない。 リーダーのベースは引き締まったサウンドで、ソロもメロディアスだ。 ライブとはいえ、エネルギー感のある、前面に張り出してくるサウンドは迫力十分で、彼らの演奏を堪能できる。 ということで、これはユニークで文句なしに素晴らしいピアノ・トリオのアルバムだった。 ピアノのモローニが気に入ったので、彼の50枚ほどあるアルバムを少し深堀してみたい。 Mads Vinding Trio:Quiet Yesterday(Storyville Records 1014356)24bit 48kHz Flac 1 All Of You 2 Quiet Yesterday 3 Softly, As In A Morning Sunrise 4 Blue In Green 5 Alice in Wonderland 6 Nature Boy Mads Vinding (b) Dado Moroni (p) Niclas Campagnol (ds) Recorded 20th September,Jazzhus Montmartre,Copenhagen, Denmark お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024年03月08日 17時48分57秒
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