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カテゴリ:ジャズ
ローレンス・フィールズ(1983-)というセントルイス生まれのピアニストのデビュー・アルバムを聴く。 最初の「Parachute」のイントロのカデンツァからしてキレキレで、若い頃のチック・コリアを思い出させるような、才能のひらめきを感じさせるピアニストだ。 40歳過ぎでからのリーダーアルバムは、遅すぎるように思うが、ジョー・ロヴァーノ、クリス・ポッターなど有名ミュージシャンとの共演も数多くあるようだ。 透明で肉厚のサウンドで、打鍵は強力だ。 個人的には音符の音数が少し多すぎるように感じられる。 ベースは東京都出身でシアトル育ちの中村恭士、ドラムスはコーリー・フォンヴィルという布陣で、彼らのプレイも強力で、トリオとしてのスケールが大きく、水準はかなり高い。 フィールズとフォンヴィルはクリスチャン・スコットの「AXIOM」に参加していた。 最初の「Parachute」や次の「New Season Blues」からリズムが際立ち、一貫して力強く進む曲が多い。 ただ、それが続くとやや単調に感じてしまうのが惜しい。 華麗なカデンツァから始まる「Moving On」はミディアムテンポのクールなテーマがいい。 途中からテンポを速め、ピアノのアドリブがもたらす熱狂は実に見事だ。 「L.B.F.」のようなゆったりとした曲も透明な叙情を感じさせ悪くない。 タイトルチューンの「To The Surface」はドラムが暴れまくり、負けじとピアノがダイナミックなソロを展開する力感溢れる演奏。 テンポの速い「Yasorey」は重戦車が驀進しているような趣の重量級のサウンドが聞かれる。 残念ながら、この曲もフェイドアウトしてしまうところが惜しい。 なお、タイトルの「Yasorey」は「Yasushi」と「Corey」を半分ずつ繋げた造語。 スタンダードの「I Fall In Love Too Easily」は透明感があり悪くないが、ブラシの音が少しうるさい。 2分に満たない「Sketches」はフェイドイン・フェイドアウトの曲で、メロディーらしきものは聞こえない。 無駄なトラックのような気がした。 最後の「The Lookout 」はリズミックで軽妙な表情を見せる。 録音はジャズに相応しく前面に出るものだが、少し騒々しく、聴き疲れしてしまう。 ということで、力強い打鍵と創造的な閃きを持つピアニストを擁する重量級のトリオとして、注目していきたい。 Lawrence Fields:To The Surface(Rhythmnflow Records 8001)24bit96kHz Flac Lawrence Fields: 1.Parachute 2.New Season Blues 3.Moving On 4.L.B.F. 5.To the Surface 6.Yasorey 7.Vision 8.Jule Styne:I Fall In Love Too Easily 9.Sketches 10.The Lookout Lawrence Fields(p) Yasushi Nakamura(b) Corey Fonville(ds) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024年05月08日 17時57分14秒
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