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非常に適当な本と映画のページ

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2013.08.06
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カテゴリ:洋画

  1971年に出版されたフレデリック・フォーサイスの小説の映画化。出版から僅か2年で映画化された事になる。
 イギリス・フランスによる合作。
 暗殺者「ジャッカル」を演じるのはエドワード・フォックス、ジャッカルを追うフランス警察のルベル警視を演じるのはマイケル・ロンズデール。マイケル・ロンズデールは、本作から数年後に007ムーンレイカーで敵役ドラックスを演じる。一方、エドワード・フォックスは、ショーン・コネリー出演の007ネバー・セイ・ネバー・アゲイン(いわゆる「正規」の007ではない)で、007の上司役を演じる。二人とも007と関わりを持つのは興味深い。
 マイケル・ロンズデールは、フランス人の血が流れているが、国籍はイギリス。しかし、本作ではフランス人を演じる。その為か、役者名もフランス風に「ミシェル・ロンズデール」として紹介されてしまい、以後そう呼ばれる事が多くなった。本人はこれが気に入らないそうで、過去の作品が再リリースされる際は「マイケル・ロンズデール」としてクレジットされる事を強く要求するらしい。
 原題は、原作と同じく「THE DAY OF THE JACKAL」。
 原作は1997年にも映画化されているが、そちらは設定がかなり変えられてしまった為、フォーサイスの名を利用する事が出来ず、名義上は本作のケネス・ロスによる脚本をリメークした事になっている。


粗筋

 1960年代のフランス。
 フランスが植民地としていたアフリカのアルジェリアで紛争が起こり、泥沼状態に陥った。
 そんな中で、第二次世界大戦でフランスをナチスから解放したドゴールが、大統領に就任。ドゴールは、アルジェリアを死守するかと思いきや、独立を支持。この判断により紛争は収まった。
 しかし、「アルジェリアはフランスの一部」と信じて疑わないアルジェリア駐在軍の者からすれば、ドゴールの判断は裏切り行為だった。彼らは反政府組織OASを組織し、ドゴール暗殺を試みる。が、いずれも失敗に終わった。
 一方、ドゴール率いる警察の捜査能力は凄まじく、OASのメンバーは次々逮捕され、組織は壊滅状態に。最早OAS自らドゴール暗殺を企てるのは不可能だと幹部は察し、組織外のプロ暗殺者を雇う事に。
 そこで選ばれたのが、本名も年齢も不詳だが若々しく、狙撃が超一流、要人暗殺の実績も豊富な長身のイギリス人男性。彼は、暗殺計画自体には口出ししないを要求。更に、法外な報酬も要求する。OAS幹部は、背に腹は変えられない、と考え、了承。イギリス人男性は、この時点で「ジャッカル」と呼ばれる事になった。
 ジャッカルは、狙撃の場所を下調べし、偽の身分証明や狙撃銃を準備すると、イタリアへ向かう。そこからフランスへ入国した。
 OASは、ジャッカルに支払う報酬を掻き集める為に、手下に数々の銀行強盗を命じる。報酬を集める事には成功したものの、フランス当局の注目も集めてしまう。
 フランス当局は、OASが何か重大な事を企んでいると読み、幹部の一人を拉致。幹部を拷問する事で、「ジャッカル」という人物がドゴールを狙っている、という事実を掴んだ。しかし、暗殺計画の内容までは掴めなかった。
 ジャッカルは、フランス当局が自身の計画を知ってしまった事を知らされた。仕事を引き受ける際、「幹部の一人でも捕まったら計画は中止する」という条件も出していたので、この時点でフランスから出国して逃亡する事も出来た。しかし、ジャッカルは計画の続行を決め、パリへと向かう。
 フランス当局は、秘密裏にジャッカルの居所を掴もうと、ルベル警視に捜査を命じる。ルベル警視は証拠を集め、着実にジャッカルへと迫っていった。
 ジャッカルは、利用出来る者を利用しては始末するという行為を繰り返し、漸くパリの狙撃場所へ到着。
 その日は、パリ解放記念式典が市内各地で開催されていた。ドゴールはそこで姿を見せるので、ジャッカルはその場を狙って暗殺するつもりだった。
 ジャッカルが見守る中、ドゴールが姿を見せる。ジャッカルは狙撃するが、外してしまう。もう一度狙おうとしたところで、ルベル警視が踏み込み、ジャッカルを射殺する。
 ルベル警視はジャッカルの正体を掴んでいたつもりだったが、その「正体」も実は偽名だった事が判明。ジャッカルは、正体不明のまま秘密裏に葬られる。


楽天ブックス(large)

感想

 現在、フランス大統領は暗殺の対象となる程の「大物」と見なされないので(フランス人からは別の意見が得られるかも知れないが)、ここまで大胆な暗殺計画を実施しなければならないのか、と思ってしまう。
 ただ、他の第二次世界大戦戦勝国の指導者が終戦直後に次々死去・引退する中、ドゴールだけは政治の中枢に残り、後に大統領に就任するのだから、少なくともヨーロッパでは「生ける伝説」となっていた人物。
 そうした人物を暗殺する、という内容の小説は、衝撃的であり、映画化されたのも当然と言える。

 1970年代に製作された作品なので、CGは一切なし。
 派手なアクションもなく、その意味では非常に大人しい映画と言える。
 見所は、エドワード・フォックス演じるジャッカルが、着々と暗殺計画を進める模様と、ルベル警視が淡々とジャッカルに迫っていく模様。
 いずれも派手な手段は使わず、気転と運を駆使して目的へと向かう。
 最終的には、ジャッカルよりルベル警視の運が上回ってしまうが。

 1970年代なので、ジャッカルもルベル警視も使う手法が古臭い。特に、ジャッカルが偽の身分証明を得てパスポートを取得し、イタリアからフランスへ入国する件は、ネットワーク化が進んでいる現在では、まず有り得ない。
 フランス当局が利用する機器も当然ながら古く、現在の視点では「パソコンで検索にかけりゃ数分で結果が出るだろ」という事に何日も費やしている感じ。
 ジャッカルが暗殺に使う手段(近くの建物に侵入し、そこから狙撃)も、現在の治安当局だったら想定内で、直ぐ阻止されるだろう。
 OASは、女スパイをフランス高官に潜り込ませ、情報を引き出し、ジャッカルへ流すのだが、この女スパイが情報をOAS側に伝える手段として、潜伏先の家の電話を利用する。ルベル警視は高官全員の電話を盗聴する事で、女スパイを捕まえる。現在は携帯電話があるので、潜伏先の電話を使う等する必要はない。この部分だけでも古臭さを感じる。

 演出も独特で、冒頭とエンドクレジット以外はBGMが全くない。
 現在の映画(というか、テレビニュースでも)だったら入る効果音やBGMがなく、編集前のドキュメンタリー映像を観ている気分になる。
 俳優の演技も、芝居かかった面もあり(特に最初のOAS幹部とジャッカルが対面する場面)、これも時代を感じさせる。

 フランス当局が、OAS内に密告者を多数入り込ませ、必要あらば幹部を拉致して拷問して洗いざらい喋らせる、という件は、フランス当局の強健振りを現している。反政府組織よりも、寧ろフランス当局の方が恐ろしい。
 現在もフランスはこうした強硬措置を取るのかね。

 フランス当局は、前半ではOASの企みを早い段階で掴み、ジャッカルの追跡を開始。
 OASにスパイを潜り込ませて丸裸にし、OAS幹部を国外で拉致して拷問にかけるという非合法的手段を使ってまでジャッカルを追う姿からして、かなり優秀な諜報機関に見えた。
 が、ジャッカルがパリに潜伏し、行方をくらますと、途端に無能になり、ルベル警視に頼りっきりになる。ルベル警視も、特段優秀ではなさそうなのに。
 映画の前半と後半で、フランス当局が全く別の機関になってしまったかの様。
 終始優秀で、ジャッカルを事前に捕らえてしまっていたら、ストーリーが成り立たないではないか、と言われてしまったら確かにそうだが、やはり納得し難い。

 本作はイギリス・フランスの合作で、舞台の殆どはフランス。
 にも拘わらず、台詞は殆ど英語。
 フランス人の登場人物も、英語を喋る。
 これに関しては、違和感が。

 原作でもそうなので仕方ないのかも知れないが、ジャッカルは自身の感情を押し殺す人物として描かれている。殺しのプロの仕事を見せられている、という緊迫感はあるが、共感はあまりしない。
 最初に姿を現す時はやけにダンディーで、暗殺者っぽく見えない(一目で暗殺者と分かるようでは困るが)。が、計画を遂行する過程で、身を隠す為に利用した人物を躊躇いなく殺していく模様は、暗殺者らしい。
 ここまでの凄腕なのだから、狙撃はきちんとやってくれるのだろうと思いきや、呆気なく外している。
 原作では、ジャッカルが引き金を絞るのと同時に、標的である大統領が勲章の授与とキスの為に屈んだので、外してしまった、となっている。要するに、ジャッカルはイギリス人(とされる)だったので、フランス人の習慣を知らなかったが故に失敗した、という説明が付く。一方、本作ではそういう細かい説明はなされないので、ジャッカルが下手糞だった、という風にしか映らない(原作の説明も、間が抜けているのは事実。フォーサイスの作品は、こうした間の抜けた理由で綿密な計画が失敗する、という例が多い)。
 ジャッカルは、早い段階で自分の存在がフランス当局にばれてしまった事を知らされる。その時点で計画を断念してフランスから逃亡する事は可能だったのだが、何故か計画を続行。「プロ」であり、契約締結の際の条件が破られたにも拘わらず計画の遂行に執着した理由が、よく分からない。作中では明らかにされず、原作でも明らかになっていないと思われる。

 ヨーロッパで製作された映画だからか、1970年代に製作されたからかは不明だが、登場人物がやけに脱ぎまくる感じ。
 現在ではそう脱ぎまくらないと思われる。

 原作は、1997年にも「ジャッカル」として映画化されている。
 フォーサイスの了承が最終的には得られなかった為、名義上は無関係だが。
 一般的には、「ジャッカル」は本作の劣化版リメークと酷評されているが、本作は標的が最初から判明していて、終始それに対し向かっていくだけなのに対し、「ジャッカル」では標的が実は別というどんでん返しが用意されている。サプライズがある、という点では「ジャッカル」が上回っている。

 暗殺者を扱ったフィクションとして、日本ではゴルゴ13が有名だが……。
 本作を観る限り、ゴルゴ13は所詮平和ボケした日本でしか成り立たないファンタジーである。


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Last updated  2013.08.31 11:09:56
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