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カテゴリ:洋画
旧3部作(エピソード4から6)、新3部作(エピソード1から3)で完結したとされたシリーズだが、製作元のルーカスフィルムをディズニーが買収した事で、新たに3部作が製作される事に。 本作は、エピソード6から約30年後を描いたエピソード7。 旧三部作でお馴染みとなったルーク・スカイウォーカー、ハン・ソロ、レイア・オーガナも登場する。 原題は「STAR WARS:THE FORCE AWAKENS」。 感想 1970年代に第1作が公開されたスターウォーズ・シリーズは、元々9部作として構想されたが、3部作(エピソード4-6)までしか製作出来なかった。 その後、「新3部作(エピソード1-3)」が製作される。 製作者のジョージ・ルーカスは、この時点で創作意欲が尽きたらしい。6作でシリーズは完結したと宣言するに至る。 しかし、ルーカスフィルムがディズニーに買収された事で、シリーズは再始動。 本作が、シリーズ再始動後の第1作。 「新3部作」から10年も経っているので、スターウォーズの世界観を継承し、新旧のファン双方を何とか納得させられるものを生み出すのが精一杯だったらしい。 敵が建造した巨大兵器を味方が奇襲して破壊するというストーリーは、第1作(エピソード4)の焼き直し。エピソード6も第1作のリメークっぽいので、シリーズ全作を観ている者からすると、既視感を抱く。 新キャラを登場させたり、最新の特撮技術(CG)を駆使したりして、差別化しているだけ。 原作者であるルーカスが「完結した」とする物語を無理矢理再始動し、続編を製作しているので、ストーリーには疑問点が多い。 ルークは、エピソード6で銀河帝国の皇帝を倒し、父親のアナキンことダース・ベイダーと和解し、フォースに秩序をもたらす事に成功し、ジェダイの復興に弾みを付けた、となっている。 が、それからたった30年後が舞台となっている本作で、フォースは再び乱れ、ルークが復興させた筈のジェダイは崩壊し、ルーク本人は行方をくらました、というのは乱暴過ぎ。結局フォースなんて制御出来ない、という事になってしまう。 そもそも、「フォースの力が強く、その力を正義の為に活用出来るようジェダイの訓練を受けていた者が、ダークサイドに誘惑され、転落してしまいました」という連中が、本シリーズでは多過ぎ。 旧3部作・新3部作は、アナキン・スカイウォーカー(ダース・ベイダー)がジェダイからダークサイドへ転落していくのを描く物語だった。 再始動シリーズは、旧3部作で主人公だったハン・ソロとレイアの息子の転落振りを描くらしい。 まともにジェダイになってくれる者はいないのか。 ルークや、オビ・ワンが転落しなかったのが、寧ろ不思議。 ルークは、父親のアナキンを目の当たりにして反面教師とする事が出来、オビ・ワンの師匠であるクワイ・ガンは、ジェダイの中では変わり者として描かれていた。 要するに、師匠がろくでなしだと師弟がまともになり、師匠がまともだと師弟がろくでなしになる。「まともなジェダイ」は、「まともなジェダイ」を育成出来ない(ダークサイドの師匠はダークサイドの師弟をガンガン生み出せる様だが)。ジェダイは、育成プログラムを根本的に見直した方が、銀河の平和の為になりそう。 銀河帝国の滅亡によって誕生した新共和国の存在も薄い。 本作では、樹立からたった30年で首都の惑星が破壊され、崩壊するだけの、雑魚扱い。 ファースト・オーダーが結成され、惑星もろとも吹き飛ばせる兵器を建造したというのに、何の手も打てていない。これでは崩壊して当然。 何の為に樹立したんだ、という事になってしまう。 レジスタンスの立ち位置も不明。 銀河帝国の崩壊により新共和国を立ち上げ、レジスタンスは新共和国に吸収というか、変貌していなければならないのに、何故か帝国崩壊から30年経った後も健在。 まるで、レジスタンスと新共和国が袂を分かち、別行動をしていたかの様。結局新共和国にも反乱する羽目になったのか。 ファースト・オーダーの存在も分からない。 エピソード6で銀河帝国は皇帝という柱を失い、窮地に陥ったかと思いきや、ファースト・オーダーという形で息を吹き返し、惑星そのものを巨大兵器に作り変えるという大事業を、何でも無い様に成し遂げている。 皇帝の死は、帝国にとっては大したダメージではなかったのか。 そうだとすると、エピソード4から6までの戦いは、完全に無駄だった、という事になる。 これ程の組織力を誇るのに、やる事は銀河帝国と全く同じ。巨大で強力な兵器を建造して、銀河の支配を試みるが、レジスタンスの奇襲で折角の兵器を破壊される。もっと上手い戦略を立てられる奴はいないのか。 本作では、旧3部作のキャラも登場するが、本作の続編で主役となるのはレジスタンスのレイ、フィン、ポー、そしてファースト・オーダーのカイロ・レンになると思われる。 しかし、この四人がこれまでのキャラを上回る魅力があるのかというと、そうでもない。 製作者となったディズニーの方針で、女性客獲得を目論んでレイという女性キャラを投入。 女性鑑賞者には大いにアピール出来るキャラかも知れないが、これまでのシリーズ作を観てきた者からすれば、物足りない。 レイの相手役として投入されたのが、元ファースト・オーダーのフィン。 黒人俳優を起用しているが、マイノリティにアピールしたい、というこれまたディズニーの方針が透けて見える。 ポーは、従来のシリーズのキャラっぽいが、これといった活躍はしてくれない。 冒頭では、主人公の如く登場するが、すぐさま退場し、レイとフィンに明け渡す。 敵となるカイロ・レンは、キャラ的に発展途上過ぎ。 登場した時点では物凄く強そうで、謎めいたキャラだったが、素顔を見せ、ハン・ソロとレイアの実の息子だという背景が明らかになった時点でヘタレになる。怒りで機器をライトセイバーで破壊し捲るシーンは、最早ギャグ。 ジェダイ、そしてダークサイドとしてライトセイバーの訓練を受けている筈なのに、ライトセイバーを扱った事が無い筈のレイやフィンが互角に戦えてしまうのはおかしい。 シリーズが進むのと同時に「悪」として完成されていくのだろうが、本作のヘタレ振りがずっと尾を引きそう。 4人の新キャラの力不足を理解してか、旧3部作からのお馴染みのキャラであるハン・ソロ、レイア、ルークを登場させている。 ただ、扱いは粗末。 百戦錬磨の筈のハン・ソロは、本作で実の息子にあっさりと殺される(ハリソン・フォードも流石に高齢なので、本作で終わりにしたい、と自身から申し出たのかも知れないが)。 レイアは老女に。「将軍」として活躍するが、実戦には参加しない(出来ない)。次回作でも登場するのだろうが、ハン・ソロの扱いからすると、途中退場しそう。 ルークは、最後のワンシーンで顔を見せるだけ。ジェダイの慣例として、新たな師弟に教えられる事を全て教えて退場すると思われる。 監督のJ・J・エイブラムスは、もう一つのSFシリーズ「スタートレック」の再始動も手掛けている。 本人は、スターウォーズ・スタートレック双方のファンだと公言している。が、スタートレックでも、本作でも、本質を理解しないまま、上辺だけ汲み取って映画を作り上げている感じ。 オリジナリティを出してもいい箇所では従来の焼き直しに終始し、独自解釈してもらいたくない箇所では「オリジナリティ」を発揮して、従来からのファンをがっかりさせている。 何故大作製作に繰り返し起用されるのかが分からない。 本作は、観ていて退屈な映画ではないが、宣伝されている程の傑作ではない。 将来はどう評価されるのかね。
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Last updated
2015.12.26 09:31:04
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