2008年1月8日(火曜日) 読売新聞 朝刊 20頁より引用
おそらく多くの日本人が冒頭の『五輪は国によって温度差がある大会』の意味が分からないことだろう。
日本人はオリンピックと言えば世界各国の一流選手が集い、持てる力を思う存分出し切って競い合う大会と捉えがちだが、実はそれは間違い。ことサッカーに限って言えば『温度差がある』とは『やる気のない国がある』という意味だ。
で、具体的にやる気のない国とはどこを指すかというと欧州各国。彼らにとっては6月7日から6月29日まで行われる欧州選手権(EURO2008)で一丁上がり。バカンスに入る。彼らのオリンピックサッカーでのプレイを見れば一目瞭然だ。やる気の『や』の字も感じられないといったら酷評過ぎるかもしれないが、大同小異だろう。
みんながバカンスに行っているのになんで注目度の低い五輪サッカーに出なければならないのか?おそらく多くの選手がそう思っているに違いない。公式発言では"せっかくだから国のために一生懸命プレイします"なんてしゃべる選手もいるが、本音はまるで逆。
9月から各国リーグ戦の公式試合がスタートするわけだから、オリンピック程度のレベルの試合で本気を出して怪我でもしたら大変なことになる。自分の持てる力を全て出し切ってプレイする選手はまず居ないだろう。だからオリンピックのサッカーは面白くないのだ。
読売新聞などのスポーツ欄を読んでいると、愛国心発揚なのか?鼓舞なのか?オリンピックサッカーをワールドカップと同様の扱いで盛り立てている記事が多いが、私から言わせると笑止千万、奇異以外の何物でもない。周りはおとなしいのに一人日本だけが騒いでいる、そんな印象を受けてしまうのだ。サッカーの記事を書く記者たちにはもう少し世界的な視野に立った正確な現状分析をお願いしたいところだ。
ではそのやる気のない諸国を相手に勝ったところで価値はあるのか?というと価値はない。でも意味はある。
手を抜いたとはいえ格下の国に負けたということは彼らにとって屈辱、次回は本気で勝負してくるからだ。で、逆に勝たないといつまで経ってもサッカー低レベルの国(日本)には本気の力を出さない。昨年度日本で行われたACミラン対浦和レッズがいい例だろう。彼らに本気の力を出させるために勝利すること、これこそがオリンピックに出場する日本選手に課せられた使命だと思う。だからどんなことをしてでも合法的な範囲内で勝利しなければならないのだ。
Jリーグのサッカー選手の発言を読んでいると、プロとして首をかしげるような『勝負』の意味が分からない選手が多い。前にも書いたが完敗・惨敗・惜敗は全部負け。惜敗だったら許されるような間違った認識を持っている人が選手に限らず、見ている観客にも多いのは困ったものだが、次回本気モードにさせるためにも死力を尽くして頑張って欲しいと思う。いい加減に『夢を見せてくれてありがどう』に代表されるようなねぎらいの言葉は姿を消して欲しいと常々思う。
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