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カテゴリ:小説/物語
その公園の入り口付近から、砂場、ブランコ、ジャングルジムがあった。
それらの奥で公園の隅に、おそらく人があまり立ち入らないのだろう、、、少し草が生えた場所があった。 その草の中に、 唯一あの時代を知っている物がひっそりと置かれていた。 そう、 あの駄菓子屋の前にあった木製の青いベンチだ! 日光や風雨にさらされて色あせているが間違いない! あのベンチだ。 不覚にも私の目には少し涙が溢れた。 今、この空間であの頃を知っているものと出会えたのだ。 私は公園に入っていって、そのベンチに座った。 そして手で触れてみた。 あのころと違ってその感触はざらざらしていた。 長い間だれにも使われなかったのだろう。 それでもこのベンチはこの真新しい公園に似つかわしい古ぼけた姿で、だれにも必要とされすに尊愛し続けていてくれたのだ。 「ありがとう。待っててくれてありがとう。」 ベンチを触りながら、小さな声でそう言った。 そしてこのベンチに座って夕暮れの空を見上げると、あの頃の出来事が本当に走馬灯のように脳裏を駆け抜けた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.02.09 02:28:02
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