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テーマ:ネタ(86)
カテゴリ:ネタ
私はかつてある企業でフザけたことばかり考えながら働いていた。いわば、フザけたサラリーマン。略してフザリーマン。漫画にするならフザリーマン金太郎だ。
まぁ、サラリーマンなら困った同僚に悩んだ経験もあるというもの。だが、しかしだ。ウザい同僚は時に上司の何気ない一言によって魂を抜かれることがあるのだ。 ⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒ ある業界大手の小売チェーン。小売業界全般がそうなのかは不明だが、その小売企業は社員同士を競わせて延ばそうとする前近代的で子供じみた社風が何の疑いもなく残っていた。 実際最も下の管理職である地域のマネージャー(課長クラス)は戦乱の出世競争を勝ち残ったということで武将と呼ばれていた。(あほか) 私も全く異業界から転職して早半年が経ちある地域の本社直営店舗の店長となっていた。店長になると月に一度の部長主催の勉強会に参加することになる。 そしてその勉強会では各自店舗での売上改善の取り組みなどを発表させ、30人もの店長を競わせ目立った者から出世させるという流れになっていた。ポイントは数値や実績ではなく目立ったという所にあるのだ、あほらしいことに。 勿論この方式には理由がない訳ではない。まず社員同士が闘って勝ち抜けるようなタフな奴でないと競合チェーンとの闘いに勝ち残れない、というのだ。 古い社風と表現したが、この出世理論はこの会社だけでなく現代の日本社会で色濃く残っている企業体質だと思う。 だが、こんな社員同士の闘いに勝ち残るのは100%性格の悪い奴らだ。競争なんだから会社全体の利益が下がろうとも同僚を蹴落として当然と思える者だけが前述の武将となり得た。 そんな社風の会社での勉強会。上司も競争をあおっている。ならばとにもかくにも目立つしかないではないか、出世したいもの。 そう思った彼はMくん。まだ24歳でいわゆる第二新卒と言われるような若者。歳はだいぶ違うものの私とは中途入社の同僚だった。 彼は普段から出世したい、金持ちになりたい、と言っては少ない給料からビジネス本を買って勉強するのではなく、ブランド品を購入して周りに自慢して歩いた。 そんな彼には夢がある。若くして管理職に出世し部下を顎で使ってみたい、というのだ。そしてビジネスマンとして世間から注目され、現代社会の勝ち組となりたいという野望を持っていた。 ある時の勉強会。既に同僚の内の何人かはうまいこと部長に認められ既に出世が確定していた。それで焦ったのはMくんだ。彼は誰よりも早く出世して同期を部下としてこき使うのが夢だったのだ。その野望のために普段から店のバイトに馬鹿にされてもなんとかやってこれたというのに。 その回の勉強会でMくんは部長に認められ出世組になる予定だったのだ。だからいつもの3倍も努力して目立とうと何度も内容の薄い発表や質問を繰り返し、残念ながら誰から見ても空回りしていた。 この日の暫定ヒーローが何度目かに手を挙げた時だったのだ、部長さんのあの一言が出たのは。 冷静に会を進行していた部長氏がニコリともせずにMくんに向って一言、 「お前、やる気だけはものすごいよな」 ・・・・・良かったな、Mくん。やる気だけは認めてくれたぞ、部長さん。あれから4年。彼は未だにある店の店長をしているらしい。16歳のバイトに馬鹿にされながら。 「ねはんの里」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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